戦前日本における心理調査の男女比
精神医療の制度や設備を利用する男女比は私たちにとっても面白い問題である。もちろんあまり変わらないケースも多いが、私がこれまで取り組んだ問題に関しては、鮮明な男女比が出てくることが多い。法律的に財産を所有する権限を女性が持っていない場合には、精神疾患による法的な処置の大多数は男性のものであった。
今回の本で戦前日本の精神病院の利用に関しては、男性が多く、比率でいうと男女比は2:1 である。これをどう説明するのかという大きな問題があり、色々と考えている。精神病院の利用件数でいうと、患者の家族が最も重要な判断主体であったケースが多いので、家族の中での男女観を見ることができるといい。先日読んだ『練成心理学』という書物は、日本の高等師範の心理学者たちの仕事で、刊行は1943年と遅いが、ヒントになる記述が多い。これは日本人に男女の性格の長所・短所を聞いて、その中で多くの人が上げたものを一覧表にしたものである。面白いことはいろいろあるが、個人的な衝撃でいうと、男子の短所というのが自分にものすごくあてはまることがうううむという感じだった(笑)
アルコールの歴史・無料PDFも手に入ります!
19世紀後半から20世紀初頭のイギリスにおけるアルコールの問題についての書物。マクミランから刊行された書物であり、ウェルカム財団の学術出版資金を獲得したため、無料でPDFを読むことができる。まだ読んでいないが、とりあえずダウンロードしておいた。学術出版の助成という仕組みは日本にも存在して、私の身の回りでも著名な出版社が行っている。日本では無料PDFの提供ではなく、価格は発生しているのだろうと思うが、おそらく無料PDFを行えるようになるといいのだろう。これは学術書だけでなく、視覚やカラー画面を強調する書物に関してふさわしいタイプなので、次の企画で考えてみようと思っている。
アルコールの歴史は、歴史においても現在と将来においても面白い主題である。タバコに関して、嗜癖性とある種の快楽の問題の議論の結果、先進国の多くがマイナスの態度を取り、社会的な違いが現れる現象になった。日本も数歩遅れてその流れに乗っている。同じようなネガティヴな流れがアルコールに関して起きるのか、それともそこに違いが現れるのか、とても興味がある。
ラエネックの聴診器の授業
医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介⑪
医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介⑩
医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介⑨
『ダウン症の歴史』パーティーで思ったこと /大谷 誠(同志社大学) | 医学史と社会の対話
ダウン症の歴史を軸にして、イングランドの精神医療の歴史を研究したデイヴィッド・ライト先生は、著作は日本語に訳され、しばしば来日しています。ライトの著作の訳者であり、ご本人もイギリスと日本のダウン症の歴史などを研究しておられる大谷先生による記事を二つ。ぜひお読みください!