江戸の武士と商人と売薬
グローバルなWHOとウェルカム財団の食養生論
江戸時代の大名・旗本による博物誌の研究
アフリカと近現代の医学
Baronov, David. "Shifting Agendas and Competing Interests within Public Health, Science and Technology, and Medicine in Africa." Isis, vol. 109, no. 4, 2018, pp. 809-816,
Iliffe, John. The African Aids Epidemic: A History. Ohio University Press, 2006.
Lachenal, Guillaume. The Lomidine Files: The Untold Story of a Medical Disaster in Colonial Africa. Johns Hopkins University Press, 2017.
火曜日は疾病の歴史の最後の回で、アフリカの HIV/AIDS の話をした。John Iliffe 先生の書物が素晴らしかったので、西部の赤道地帯で発生し、そこから東部へ、最後には南部に移動していくこと、しかしいずれの地域でも異なる状況があったことなどをメインにした。もう一つ、Isis で読んだエッセイ・レヴューで、近年のアフリカ研究の方向性についての良いポイントがあったので、そのような部分も Iliffe 先生の本の最終章から拾ってきた。
このエッセイ・レヴューで書評されていた、ギヨーム・ラショナル先生が書いた書物が、フランスの植民地医学の疾病対策とその失敗について。フランス語から英訳された。エッセイの本流とは異なるが、面白そうなので買っておくことにした。「ロミディンの事故」と呼べる、フランスが1930年代から50年代にかけてアフリカの植民地で起こした事件である。アフリカで眠り病のワクチンとして開発されたが、非常に大きな人体被害が出てしまったとのこと。公衆衛生ワクチンが起こしていた事件である。これも知っておこう。
Until recent times, the conventional history of public health, of science and technology, and of medicine has been presented in the West as a tale of out-migration from the advanced, developed world (principally Europe and the United States) to the less developed (or underdeveloped) world. By this account, Africa emerges as a peculiar mix of charity case, experimental laboratory, and lucrative market. The four works considered here mark a significant turn in this curiously one-sided and resilient story line. Each text begins from the premise—some more forcefully then others—that Africans have always been, and remain today, active agents in the creation, development, innovation, and adaptation of knowledge and practices across public health, science and technology, and medicine.
研修医制度とカルテについて
週刊医学界新聞が「研修医特集」である。医学部で6年間勉強して、国家試験を通って、それから2年間「研修医」として大学病院や大きな病院で修業をする仕組みである。私は詳しくは知らないが、1950年代から60年代末まで、若手医師に対するインターン制度をめぐる闘争のあと、研修医制度になったらしい。いい本を読んでおこう。
医学界新聞の今号のあちこちに、過去に診療録をどのように記入したかという医師たちの記憶がある。これは私の仕事に大事なことなのでメモをしておいた。また、患者と接触することを外国語(おもに英語)でどのようにするかということについても書いているお医者さんがいらして、面白いことを書いているから、そこもメモをしておいた。
ベスレム精神病院・こころの博物館における「メランコリー」の展示
先週の合評会のあとで少しお話をした時、ベスレム精神病院の「こころの博物館」Museum of the Mind をご存知ない方がいらした。たまたま「憂鬱の解剖」という新しい展示の広告が出たこともあり、お知らせ。
これは17世紀のロバート・バートンの『憂鬱の解剖』Anatomy of Melancholy という書物にちなんだ展覧会の名称である。バートンを専門とする英文学者の講演も行われる。18世紀のジョージ・チェイニィが富裕な層がなる「イギリス病」と呼ぶ神経論や、16世紀のスペインのキリスト教におけるメランコリーの取り上げなど、面白い講演と合体している。背景に理系と技術の発展があり、それと並行して文系の学術的な専門家の育成があり、それから30年か50年ほどすると、文化はこのように成長するということだと思います。