三つの映画『ロビン・フッド』『アリータ』『ザ・キッド』

帰りの飛行機では積み上げている仕事がない状態だったので、映画を観たり、うとうとしたり、目標がない静かな時間だった。映画は『ロビン・フッド』『アリータ:バトル・エンジェル』そして『ザ・キッド』と三つ観た。中世、未来、そしてアメリカの19世紀末という三つの時代のはずだけれども、『ロビン・フッド』は中世なんてどうでも良いアクション映画、『アリータ』は西暦2500年くらいの人類とサイボーグの恋などの話で、歴史はわざと適当にしている話だった。それはそれでぼうっと観ているには楽しい映画だった。『ザ・キッド』はとても素晴らしい映画だった。ビリー・ザ・キッドと呼ばれているアメリカのガンマンと、彼の周囲にいる姉と弟の話である。私は西部劇が好きである。父親が好きだった西部劇の映画や、ボルヘスが『悪党列伝』で取り上げた彼らの生活が好きだからだと思う。

茶の語源とパセリの語源

吉田金彦が編集した『語源辞典』の動物編と植物編が合計で二冊来た。特に植物に関しては薬と関係が深いので少しめくって、面白い項目をメモ。

「茶」。これはクサカンムリに「余」がくる。「余」によって、緊張をといてからだをのばす効果があると考えられているとのこと。「茶」や「余」を漢和辞典で引いてみたけれども、まだよく分からない。

「パセリ」。江戸時代に渡来した言葉。別名オランダゼリという。これは英語の parsley に由来する。もともとはラテン語の petrosilium, ギリシア語の petriselinon に由来する。perto 岩 と selion セロリ をつなげた言葉である。ジェラードの Herbal を読んでもだいたい同じ話である。英語では persele, parsely, common parsley, garden parsley のような表記があった。庭で育てるには、熱でも冷でもよく、そこに湿があったり水をあげればよい。泉などがとても適しているとのこと。

ジャッキー・O のサングラス

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オクスフォードの今日の単語。ジャクリーン・ケネディのサングラス、あるいはジャクリーン・ケネディ・オナシスのサングラスを、ジャッキー・O のサングラスという。英語では Jackei O である。なぜジャッキー・オナシスのサングラスと言わないのか少し不思議で例文を読んで見た。たしかに、ジャッキー・O の豪華さ、深み、そしてよくわからないけどエロスの力を持っている。

 

ラテンアメリカのヒーリングとヨーロッパの芸術の歴史

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ロンドンでラテンアメリカの研究者たちと会って色々な話をしていることもあって、マイク・ジェイ先生がハヴロック・エリスとペヨーテやメスカリンの利用について書いている文章を読んだ。ラテンアメリカの長い連続と、イギリスにやフランスで19世紀に起きる麻薬と芸術の混合は重要であった。ことに性や妄想のラインで麻薬を用いる傾向があったとのこと。

レオナルド展とRA

 
 
ロンドンで色々と沢山仕事があって忙しいけれども、午前中に時々展覧会に行っている。バッキンガム宮殿の王立コレクションで レオナルド展が開かれており、RAでは恒例の夏の展覧会と、シュエルフベックと読むのだろうか、フィンランドの女性作家の中くらいの展覧会が開催されていた。
 
レオナルド展は、非常に素晴らしかった。今年はレオナルドの生誕500年ということもあり、彼の芸術家としての仕事はもちろん、工芸家としての傑出したデッサンが、非常に分かりやすく紹介されていた。医学、技術、植物学、動物学などの、さまざまな側面に注目して、それらをきちんと説明している。ことに、医学と解剖については、レオナルドが医学に興味を持った時期がいくつかあって、それぞれの時期において関心の中心が移動している。とくに肝臓に興味をもって、その周辺のさまざまな臓器の機能を考えた時期があって、それらに関する個々のコメンテイターの説明が非常に面白かった。
 
RAでは、20世紀フィンランドの女性画家がとても面白かった。若い女性の時代から、徐々に老化していく自画像を並べたところも面白かったし、高齢の時期になると看護師が一緒にいる生活を描いたありさまも面白かった。もうひとつの夏の展覧会は、1769年に始まって、今年は251回目とのこと。入った正面で数多くの動物を展示していて、これも面白かったし、いくつか作品も売っていて、惹かれた作品もあったけれども、いろいろな理由があって(笑)、やめておいた。

インドの森を伐採するミヤワキ・モデル

daily.jstor.org

 

宮脇昭という偉大な植物学者がいる。日本語のウィキペディアでも記事になっているが、英語のWikipediaMiyawaki Akira を検索すると、日本語記事の5倍くらいの詳細な記事である。日本語のサイエンス・コミュニケーションの教育の弱さですね。

今日のJSTORの面白い記事は、インドの森を伐採して、宮脇のモデルを使って、別の形の森として再生させたという記事。あとからゆっくり読むが、ある意味では、19世紀のヨーロッパの都市における衛生化とは異なった原理の生態学的なものだったと言えるのかもしれない。