コーヒーの原種の「ゲイシャ」について

土井珈琲の6月号の案内を読んでいて、コーヒーの原種の名称が「ゲイシャ」であることを知り、まさか日本の「芸者」にちなんだ命名だろうかと思って調べたら、そうではなく、エチオピアの村「ゲシャ」(Gesha) にちなんでいるとのこと。ただ、英語のスペルで G…

医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介⑥

igakushitosyakai.jp 2017年の6月にロンドンの高層公営住宅で火災事件が起きました。安価で燃えやすい高層建築という現象でした。同じように、1903年1月に、ロンドンのコルニー・ハッチにあった公立精神病院で火災が起きて、52名の女性患者が死亡しました。…

エルヴィス・プレスリーの貧困と成功と没落を描き、同時にトランプ大統領のアメリカを問う伝記映画

www.nytimes.com エコノミスト・エスプレッソの見出しが、ユージン・ジャレキーという映画監督が作成した The King という作品についての記事。貧しい少年から成功して「皇帝」となり、そこから比較的早く世を去ったエルヴィス・プレスリーについての伝記映…

精神病院と刑務所の医学的な関係について

academic.oup.com キャサリン・コックス先生とヒラリー・マーランド先生が書かれた刑務所と精神病院(アサイラム)の関係に関する論文。19世紀のイングランドが事例だと思う。必読論文である。いまであれば自由にDLできる状態だと思う。 精神病院と刑務所の…

医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介⑤

igakushitosyakai.jp 国立保健医療科学院の逢見憲一先生が書いてくださった、インフルエンザのウィルス循環と予防接種という二つの側面がからみあいながら、過去と現在と将来の環境と人為がどう変わるのか洞察する素晴らしい記事です。ぜひお読みください!

健康賛美の海水浴をする少しおかしな18世紀のヴィーナス(笑)

イギリスの18世紀学者たちが出している『18世紀研究』が、18世紀とロマン主義の文学を取り上げて、流行と疾病を検討するという特集をしている。この特集のエディターの一人がクラーク・ローラー先生である。ローラー先生は20年以上前にアバディーン大学で同…

サウジアラビアの女性の自動車の運転と医療の国際比較の話

今朝のEconomist Espresso で、サウジアラビアの女性が自動車の運転免許を持つことができるようになるというニュースを読む。サウジアラビアで近代化を指導するムハンマド・ビン・サルマン王子の指導のもとの改革だという。これで世界のすべての国で女性が自…

医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介④

igakushitosyakai.jp 医学史の大きな特徴は学際的な学問であることです。医学と歴史学の二つの大きな学問が共存し重なり場合によっては論争しながら議論を進めている学問です。 廣川和花さんが、歴史を学びながら医学に尊敬を払い、その成果を歴史学の中に取…

江戸時代の木製の水道管

公衆衛生の上水道・下水道は、水系感染症の歴史と現在にとっては非常に重要な主題である。私はほかの学者の話を伺ったり古典的な論文を読んだりしただけで、リサーチしたことはない。今日はクレジットカードの会員誌の記事を読んでいたら、「江戸時代の木製…

『週刊医学界新聞』の精神科医療の特集

医学書院/週刊医学界新聞 『週刊医学界新聞』の3277号(2018/06/18) が精神科医療の特集で、熱心に読んだ記事が二つあった。一つが一面の座談会である「EBM時代の精神科医療」という特集で、副題として「ガイドラインと実臨床のギャップを埋める」がついて…

医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介③

igakushitosyakai.jp 医学史と社会の対話で、今日公開されたばかりの記事。アメリカに留学している藤本大士君が執筆された記事です。津和野の医療史をたどる興味深い施設である「医食の学び舎(旧畑迫病院)」の紹介です。添付されている写真なども美しいも…

背景―幸田露伴『椀久物語』

Madness between Silence and Eloquence: The History of Mental Illness in Modernist Tokyo 1920-1945 (仮題)の第一章の背景の部分、それも精神病者監護法の部分を書いてみた。大津事件、相馬事件、九鬼波津子事件はかなりできた部分もあり、もう一度き…

医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介②

igakushitosyakai.jp 先日は光平先生の動画を紹介しました。同じ日の松沢病院のメインのスピーカーはロンドン大学の松本直美さん。彼女の講演「愛に狂った者たちの歌」は、初期近代音楽の演奏者・声楽家の合計4名の演奏を含み、内容に関しても音楽に関しても…

医学史と社会の対話ー優れた記事の紹介①

igakushitosyakai.jp 学術振興会から資金をいただいて運営している「医学史と社会の対話」。他の研究資金と違って4月に始まるタイプではなく、10月に始まるタイプでして、2018年の9月末でひとまず最初の研究運営が終わりになります。現在、合計で3年間となる…

元ナチスのSS隊員が戦後に論ずる優生学と人文学が混じった「馬鹿について」

https://de.wikipedia.org/wiki/Horst_Geyer Geyer, Horst et al. 馬鹿について : 人間-この愚かなるもの. 創元社, 1958. ホルスト・ガイヤー(Horst Geyer, 1907-1958) はドイツの神経科・精神科の医師。遺伝を重視した優生学と人類学の学問を吸収し、カイザ…

世帯と共同体と精神病院―17・18世紀オランダの大都市から

http://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/0957154X17736236 History of Psychiatry の2018年3月に刊行された29巻1号に掲載された面白い論文である。精神疾患の患者の世帯に関して、17・18世紀オランダの史料を調べたもの。一つは貧困対策としての収容施…

英語で書かれたインドネシアの医学史の書物をインドネシア語に翻訳するプロジェクト

uk.gofundme.com Vivek Neelakantan 先生が、スカルノ時代のインドネシアの科学と公衆衛生、そして国家建設に関する最初の英語の書物を刊行されました。オーストラリアのシドニー大学のハンス・ポルス先生のご指導の産物です。同書は素晴らしい書物ですが、…

イングランド中央政府の精神医療史料 1800-1913

Lappin, James. "Central Government and the Supervision of the Treatment of Lunatics 1800-1913 : A Guide to Sources in the Public Record Office. 精神疾患に関して、イングランド&ウェールズの中央政府が所蔵する史料を、1800年から1913年にわたっ…

映画『第七の封印』(1957)

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Seventh_Seal 今日の歴史学Iは一学期に一回のブレイクの日である。英語の講義もないし、学生がそれを要約するエッセイもないので、教員にとっても学生にとっても負担が非常に少ない。講義の代わりに映画を見せ、それにつ…

「感染症と人類社会―いくつかの文学を手掛かりに」ー『医学史と社会の対話』の新しい記事

igakushitosyakai.jp 日本学術振興会から資金をいただいている「先導的人社」のプロジェクトである「医学史と社会の対話」。今回の新しい記事は、詫摩佳代先生に書いていただいた、感染症に関する国際協力を分析する記事です。その背景にボッカッチオ、デフ…

世界史上初の女性同性愛者であるアン・リスターの「秘密の日記」について

長沖先生と合同で行っている「ジェンダー論」という学部1・2年生向けの授業がある。現在であればジェンダー論を専攻で学んでジェンダー論を教える若い先生がたがたくさんいるのだろうが、長沖先生と私が20年ほど前に合同で「ジェンダー論」を作ったときには…

<むんてら>と Mundtherapie について

間中喜雄. むんてら : 医者と患者. 創元社, 1963. 創元医学新書. 「むんてら」というよくわからないフレーズがある。まずもともとは何という語なのか、どういう意味なのか、いつ使われ始めたのか、そういう基本的なことも私にはよくわからない。日本で流通し…

シャルコーとヒステリーの演劇学と映像学

http://newbooksnetwork.com/jonathan-w-marshall-performing-neurology-the-dramaturgy-of-dr-jean-martin-charcot-palgrave-macmillan-2016/ 2016年に刊行された、Jonathan Marshall, Performing Neurology: The Dramaturgy of Dr Jean-Martin Charco (201…

昭和16年から17年の女学校におけるヒステリーの流行

今日はロンドンからいらした先生とお昼を食べながら、国際共同研究のお話をした。数日前に廣川さんに教えられた文献である村中璃子さんの『10万個の子宮』という非常に面白い本を読んでおいたこともあり、その先生と子宮頸がんの副反応の問題、思春期の女性…

第一次大戦と関東大震災の日仏比較講演

日本医史学会の功労会員である小林先生が、第一次大戦と関東大震災を較べて、フランスと日本を比較する講演をしてくださいます。ぜひお出でくださいませ! ***** 日仏医学会 講演会のお知らせ 期日:2018年6月30日(土)18時 場所:日仏会館5階会議室(…

日本製の『赤毛のアン』?

カナダの東側に、プリンス・エドワード・アイランドという島がある。人口は14万人くらい。その大学には医学史の研究者がおり、歴代にわたって精神医療の歴史の研究者になっている。先日、彼とドイツの研究者二人とワークショップに関して話す機会があった。…

鬼頭宏先生とシェアハウス!

z241.secure.ne.jp 静岡市のあちことで無料で配っている「すろーかる」というフリーマガジンがある。静岡市や近辺の地域を選んで、そこのお店などを紹介する雑誌。なかなか面白いです。今回は草薙特集で、静岡県のご出身か何かで、ご専門は歴史人口学である…

ミュシャ展 運命の女たち 静岡市美術館

「ミュシャ展」|静岡市美術館 2017年の9月に京都にはじまり、名古屋、広島、福岡を巡った展示に行ってきた。 ミュシャは私が学生の頃だった1980年代では東京で人気がある画家で、世紀末やファムファタールという企画でよく拝見した。そのころに買った絵葉書…

ナチスの強制収容所に関する日本人の精神病医の見解

加藤, 正明. ノイローゼ : 神経症とは何か. 再訂増補 edition, 創元社, 1959. 創元医学新書. 戦後の日本がナチスの強制収容所をどう理解していたか、いつどのように理解が変ったかという問題。これは私の無知の問題だと思う。ナチスの強制収容所の<目的>に…

戯作禁止からオペラ『源氏物語』へ

歌舞伎座の会員誌の『ほうおう』7月号を読んでいたら、好奇心が高まる公演の情報。7月の歌舞伎座は市川海老蔵が昼も夜も宙乗りで主役を演じるものである。昼は太閤もので、夜は源氏物語である。歌舞伎座で源氏物語を劇化することは、太平洋戦争の敗戦まで…