脳炎と節足動物

脳炎と節足動物について多少混乱したのでメモ。 脳炎のところに arthropod-borne という言葉が出てきて、それを anthropodと読み違えて多少混乱した。arthropod というのは節足動物という意味である。昆虫、クモ、ムカデ、ダニなどを想像するとよい。ノミと…

明治初期の京都の日本脳炎

エコノミスト・エスプレッソでインドの子供で脳炎が流行しているという短報を読み、BBCに行って、インドでの流行を知る。ライチという果物を食べたことが流行の背景ではないかとのこと。encephalitis という言葉は英語で説明すると Inflammation of the brai…

JSTOR Daily よりマルクスのワイン(笑)

www.atlasobscura.com 水曜の朝には JSTOR Daily が来て、面白い記事を紹介してくれる。今日の記事の中からは、長期的な疼痛を治す家庭の記憶の心理療法の話も楽しかったが、カール・マルクスがワインを飲んだくれる人物であるという文章がやはり楽しかった…

月岡芳年と北条高時と天狗

菅原真弓. (2018). 月岡芳年伝: 幕末明治のはざまに, 中央公論美術出版.(1969). 家の芸集, 東京創元新社. 来週の火曜日には英語で一つ講演をする。色々な事情が重なって、予定はしていなかったがしなければならなくなった講演である(笑)その導入である浮世…

慶應の北中先生が『週刊医学界新聞』座談会に登場です!

www.igaku-shoin.co.jp 慶應の同僚の北中先生が『週刊医学界新聞』の座談会に登場しました!「ベッドとベンチの相互協力でめざす精神医学研究の発展」です。ぜひお読みください!

核兵器の将来

エコノミスト・エスプレッソから核兵器の将来に関する記事。 冷戦期の核兵器の拡大は凄まじいものがあった。合衆国で言うと、ソ連との競争がもっとも激しかった時期には、70,000 個の核兵器が準備されていた。ソ連はもっと数が多かったことだろう。その個数…

産業革命と女性外科職人の歴史

Hudson, Pat. The Industrial Revolution. Edward Arnold. Distributed in the USA by Routledge, Chapman and Hall, 1992. Reading History Wyman, A. L. "The Surgeoness: The Female Practitioner of Surgery 1400-1800." Med Hist, vol. 28, no. 1, 1984…

産業革命におけるテクノロジーのインパクトについて

Berg, Maxine. The Age of Manufactures, 1700-1820: Industry, Innovation and Work in Britain. 2nd ed edition, Routledge, 1994. 産業革命の本をもう一つ。こちらはより高度な本であるが、18世紀・19世紀の歴史は、医学の領域を離れた話でも、わかること…

看護婦と軍隊の問題

Enloe, Cynthia H. Maneuvers: The International Politics of Militarizing Women's Lives. University of California Press, 2000. フェミニズムの論客の一人であるシンシア・エンロー先生の著作を読んでみた。『策略』として日本語に訳されているが、これ…

神農本草経解説と「君臣佐使」という儒教概念

森由雄. 神農本草経解説. 源草社, 2011. しばらく前に提出した論文のために中国医学の歴史を少し勉強した。55歳の医学史家としては恥ずかしい事態である。基本は中国語ができないという非常に大きなファクターである。どうしたらいいのか考えている。今のと…

鐘馗さんを探せ!

小沢, 正樹. (2012). 鍾馗さんを探せ!! : 京都の屋根のちいさな守り神, 淡交社. 京都の民家などの屋根に残っている「鐘馗さん」と呼ばれている瓦製の神様がある。もともとは中国の起源で、道教によって解釈されて、平安時代末期の国宝辟邪絵(へきじゃえ)に…

JSTOR Daily の情報をどうもありがとうございました!

daily.jstor.org 先日 Amelia Bonea 先生に教えていただいた JSTOR Daily のサイト。その会員に無料で登録し、ニューズレターを貰うようになりました。これがとても面白いです。今週は、第二次世界大戦中に連合軍が行ったD-Day の上陸作戦にからめた記事とリ…

植物名・動物名の学名としてのラテン語

Stearn, W. T. (1995). Botanical Latin: history, grammar, syntax, terminology, and vocabulary, Timber Press. Wright, J. a. and L. i. Harper (2014). The naming of the shrew : a curious history of Latin names. 植物の学名が謎の一つである。ギリ…

Social Medicine Readerの第3版が出ました!

Oberlander, J. et al. (2019). The Social Medicine Reader. London, Duke University Press. Social Medicine Reader の第3版が2巻本で到着。第1巻は倫理とバイオメディシンの文化、第2巻は差異と不平等についてという表題を付けている。アメリカで急速な…

静岡の浮世絵展と疱瘡除けの鐘馗の幟

www.shizubi.jp 静岡市美術館で「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション」の展示。全体で200点も公開され、鈴木春信の歌舞伎の舞台、東洲斎写楽や喜多川歌麿の歌舞伎役者のアップ、北斎の富嶽三十六景や諸国名橋、広重の名所江戸百景や東海道五十三次…

北海道大学の実験とブンチョウの親による繁殖行動の教え

土曜日のエコノミスト・エスプレッソ。今日も楽しい記事ばかりでした。今日の一押しは北海道大学で行われた実験で、ブンチョウがどのように繁殖行動を訓練しているのかという側面。 オスがメスに上手なさえずりを聴かせるために、実際にメスがいない場でさえ…

二十四節気ー芒種

芒種(ぼうしゅ)。小満と夏至の間にある二十四節気。6月5日頃で、今年は6月6日とのこと。 芒は「のぎ」のことである。ウィキペディアの説明では、「芒(のぎ)は、コメ、ムギなどイネ科の植物の小穂を構成する鱗片(穎)の先端にある棘状の突起のこと。のげ…

「図書館情報学と医学」-『週刊 医学界新聞』最新号より

『週刊 医学界新聞』に新しい連載である「図書館情報学の窓から」が始まった。佐藤翔先生という方が、ある意味で歴史的な手法で始まった。図書館情報学は、原子爆弾計画・マンハッタン計画に一つの起源をもつという議論である。とても面白そうだし、引用され…

ゲーム・オブ・スローンズとスペイン語完全マスター(笑)

www.lrb.co.uk ゲーム・オブ・スローンズというアメリカのTVドラマがある。非常に大規模な歴史ドラマというかエピックというか、『指輪物語』のような、古代の大きな規模のドラマである。総じて規模が大きく、全部で何作あるのかもわからないほど大きい。ま…

キャサリン田中先生の「対髑髏」に関するご論考を頂きました!

キャサリン田中先生の論考が Japanese Studies という英語圏での一流誌に掲載されました!幸田露伴の「対髑髏」を分析した力作です。仏教の文化や思想などの伝統文化と強く結びついてそれを発展させながら、欧米で受け入れられたハンセン病という概念を取り…

ジープとジープ(笑)

昨日のOEDの「今日の単語」は zeep, n. である。私がそうだが jeep, n. と混同して分からなくなったのでメモ。 jeep、あるいは Jeep は四輪駆動車の商標である。もともとは第二次大戦時にアメリカ軍が欧州に投入した軍用車で、大活躍して、60万台を超える大…

シチリアのミイラ状の遺体保存

www.bbc.com BBCのReel の特集。シチリア島で1900年少し後まで継続したミイラ状の遺体保存について。全体で20分ほどの映像が提供される。エジプトを除くと、世界中で最もミイラ状に遺体を保存するケースが多いとのこと。おそらく1500年くらいに始まり、それ…

野菜と山菜と有用植物

草川俊. 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版, 1992.草川俊. 有用草木博物事典. 東京堂出版, 1992.Kerr, Julie. Life in the Medieval Cloister. Continuum, 2009. 草川俊という人物の名前を聴いたのは数週間前である(恥)宇都宮で高等農林学校で農業を学び、山…

魔女狩りとアルベルトゥス・マグヌスの秘密の方法

Sallmann, Jean-Michel et al. 魔女狩り. vol. 16, 創元社, 1991. 魔女狩りの授業を一回分する理由で、ジャン=ミシェル・サルマンの『魔女狩り』も読んでみた。古くから存在する魔女の考えと、16・17世紀のヨーロッパの近代化の中で発生する魔女狩りが日本…

歌舞伎と高時と外郎売

7月の歌舞伎公演は、「高時」と「外郎売」という医学史の重要な作品が入っている豪華なものである。「高時」は、もともとは『太平記』の序盤で登場する愚かな執権である北条高時のストーリーで、高時が酒を飲んでいる時に多くの芸人が現れ、歌を歌いながら踊…

17世紀の博物誌の挿絵の利用

publicdomainreview.org 17世紀の芸術は多様な用いられ方をする。美しいバラが「死」の象徴になる vanitas という趣向で有名なのがベルギーの画家の ヤン・ファン・ケッセルである。今朝の Public Domain Review に、ヴァン・ケッセルがバラだけでなく多くの…

「文理連接プロジェクト」と社会科学と公衆衛生の関係

慶應義塾大学・日吉キャンパス・教養研究センターが開催する新しいプロジェクトである「文理連接プロジェクト 医学史と生命科学論」が第一回、第二回と研究講演を終了することができました。ご協力ありがとうございます。4月に開催した第一回の講演について…

ホフマン「隠者セラーピオン」

Hoffmann, E. T. A. and 甫. 深田 ホフマン全集, 創土社. この4-1にあたる。 E.T.A. ホフマンという作家は1819年から1821年までに刊行した4巻本がある。その少し前から書かれていたものと、ほぼその時期に書いた作品である。ホフマンは1822年に46歳で梅毒で…

歴史と記憶と精神医療の症例誌

Le Goff, J. (1992). History and memory, Columbia University Press. Le Goff, J. and 孝. 立川 (2011). 歴史と記憶, 法政大学出版局. 精神医療において症例誌を用いることの大きなメリットが二つある。一つは歴史学が持つ客観性を高め、過去の人々の精神…

田中先生からご著書を頂きました!

京都大学の田中祐理子先生から『病む、生きる、身体の歴史』(青土社、2019)を頂きました。解剖学と血液循環論、顕微鏡の利用、19世紀と20世紀の比較など、時代的にも主題的にも非常に豊かな内容を持つご自身の論集です。フランスの歴史と哲学と科学論の伝…