Medicine Line アメリカ―カナダ国境の北緯49度線の別称 

49th parallel north - Wikipedia 無知の告白(笑)学術雑誌の目次をみていて、Medicine Line という言葉が出てきて、意味が分からなかったのでネットで調べた。 おそらく19世紀にアメリカと現在のカナダの間で北緯49度線が国境となったとき、現地の先住民と…

731部隊(NHKスペシャル)について+日本の大学医学部の学用患者の問題

http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170813 NHKスペシャルの731部隊の特集「731部隊の真実 ーエリート医学者と人体実験ー」がYouTube 上に落ちていたので、喜んでそれを観た。ツィッターやFBで高い評価を聴いていたが、その通りの素晴ら…

フィルヒョー全集が刊行中

Olms - Weidmann: Fachverlag für Geisteswissenschaften ドイツのオルムズ社から刊行中のルドルフ・フィルヒョーの全集。全71巻で、うち半数を刊行済み。全体は5部にわかれ、1. 医学、2.政治、3.人類学・民族学・原始史、4.書簡、5.フィルヒョー研究からな…

英語ワークショップの開催(9月8日)

以下のようなワークショップを開催します。私の研究室にかかわる若手の学者たちが英語で発表するワークショップです。もう5年くらい続けていて、「この世界をつくる構造」の一つになってきました。 Work in Progress: Young Scholars' Workshop in English F…

セルボーンの自然誌

White, Gilbert, and 義雄 山内. セルボーンの博物誌. 講談社学術文庫. Vol. [1018]: 講談社, 1992. White, Gilbert, and Paul G. M. Foster. The Natural History of Selborne. The World's Classics. Oxford University Press, 1993. 実佳が行っているチョ…

White, Gilbert, and 義雄 山内. セルボーンの博物誌. 講談社学術文庫. Vol. [1018]: 講談社, 1992. White, Gilbert, and Paul G. M. Foster. The Natural History of Selborne. The World's Classics. Oxford University Press, 1993. 実佳が行っているチョ…

江戸時代の怪談と話における精神疾患

講演のメモです。生まれて初めて、日本の近世について人前で何かを話す講演じゃないかしら。うううむ。でもがんばろう。 耳袋 巻の四 「番町にて奇物に逢う事」 書き手の知人が知り合いの侍と二人で、秋の夜で風雨が強く、番町馬場のあたりでは前後往来も絶…

医学史と映像の歴史

Cartwright, Lisa. Screening the Body : Tracing Medicine's Visual Culture. University of Minnesota Press, 1995. 今から20年以上前の刊行書で、医学と映画の問題が歴史学の主題になり、その成果を世に問うたごく初期の書物。フーコーやドゥーデンといっ…

アフリカのトライブごとの芸術の入門書

Bacquart, Jean-Baptiste. The Tribal Arts of Africa. 1st pbk. ed ed.: Thames & Hudson, 2000. アフリカの芸術をトライブごとに説明してくれる素晴らしい入門書を、実佳がロンドンのRAで買って送ってくれた。心から感謝。これで、アフリカの芸術が少しは…

中国タバコの世界

川床, 邦夫. 中国たばこの世界. 東方選書. Vol. 33: 東方書店, 1999. 著者は東大農学部を出て日本専売公社に入社して、インドや中国にタバコの栽培を教えに行った。そこで、各地のタバコの利用についての知識を得て、本書を書いた。これが、ものすごく面白い…

731部隊によるペスト保菌ネズミの検査法の研究

保菌についての史料を読んでいたら、満州でペストを保菌している鼠を研究した論文が出てきた。執筆者は春日忠善(かすが ちゅうぜん)1940年に「ペスト沈降反応の特異性に関する研究」という博士論文で慶應義塾大学から博士号を得ている。没年近くだとおもう…

パウル・エールリヒという変人医学者

De Kruif, Paul, and 寿恵夫 秋元. 微生物の狩人. 岩波文庫. Vol. 青(33)-928-1-2,33-928-1-2: 岩波書店, 1980. ポール・ド・クライフというアメリカの科学ジャーナリストが1926年に出版した書物 『微生物の狩人』Microbe Hunters は、おそらく歴史上最も売…

18世紀ロンドンの外科医・解剖学・人骨

https://en.wikipedia.org/wiki/William_Hewson_(surgeon) https://ai-journal.com/articles/abstract/10.5334/ai.0206/ ロンドンで仕事をして日曜日には観光地に行って感心している実佳から初めて聞いた、18世紀のロンドンの外科医で解剖学を教えていた Wil…

戦前の伝染病院での保菌者研究

柴山、知輝. "腸「チフス」ノ保菌者ノ血清反応ニ就テ." 日本伝染病学会雑誌 14, no. 2 (1939): 85-112. 翌年の1940年に「腸チフス保菌者の血清反応について」に対して東大医学部から博士号が授与されている。日本伝染病学会雑誌の論文は、かなり詳細で本格的…

東ローマ帝国の暴露本(笑) 

Quinn, Josephine. "Goose Girl." Review of Theodora: Actress, Empress, Saint, by David Potter. London Review of Books 39 no. 9 (2017): 38-39, https://www.lrb.co.uk/v39/n09/josephine-quinn/goose-girl. Procopius, G. A. Williamson, and Peter S…

シガレット(機械巻き紙タバコ)の歴史を書くという賢さ

Brandt, Allan M. The Cigarette Century : The Rise, Fall, and Deadly Persistence of the Product That Defined America. Basic Books, 2007. タバコの問題の中で、シガレット(機械巻き紙巻きタバコ)の歴史を描く素晴らしい書物。シガレットに集中した…

近世の文を読む狂女(図版入り)

伴蒿蹊. 近世畸人傳. 森銑三 編集 岩波文庫. Vol. 黄(30)-217-1, 黄-165, 2196-2198: 岩波書店, 1940. 135-136 江戸時代の歌人・文筆家の伴蒿蹊(ばんこうけい 1733-1806) が1790年に刊行した書物『近世畸人伝』は、100名ほどの人物の「奇」なる生き方を記…

エコノミストより アフリカの大統領はなぜ任期を延長する法律を通しているのか。

www.economist.com エコノミストより。アフリカの大統領の任期がなぜ延長されるのかという問題を論じている。民主主義について鋭利な洞察があるのでメモ。 1990年代にアフリカ諸国の民主化が叫ばれたときに、個人の大統領の長期独裁政権にならないように、任…

新刊書 20世紀前半のドイツ映画と精神医学など + 日本の問題に関するメモ 

historypsychiatry.com 新刊研究書のお知らせ。紹介によれば、20世紀前半のドイツの映画と人間科学(精神医学、神経学、セクソロジー、優生学、産業心理学)の関係を論じた書物。映画は、これまでの文化が崩壊したあとの空白を埋めるなどの重要な役割を果た…

腸チフス保菌と結核の関係(昭和14年)

堀越、敏雄. "長期間に亘る腸ちふす保菌者ノ臨床的並ニ微生物学的観察." 日本微生物学病理学雑誌 33, no. 11 (1939): 1351-58. 堀越はこの論文を書いた時期には神奈川県中央衛生試験所の人物。小田原保健所に勤務して結核についての論文を書いている。1950年…

山崎佐のジフテリア論

山崎、佐. "「ヂフテリア」予防制度(1)-(10." 耳鼻咽喉科 3, 4. (1930-1931): (3)443-50, 533-39, 631-36, 707-14, 91-98, 873-80, 959-66, (4)39-46, 257-65, 355-62. . 日本の医学の歴史、ことに、近世と明治期以来の医学と法制度との関係に優れた業績を残…

デニールゼロの魅力(違)

www.kasane-dolce.com デニールについて少し学んだのでメモ。 「デニール」という言葉を知ったのはつい数か月前で、ツィッターなどで話題の雪印の「カサネテク」というビデオを見たときである。合コンでの女の子のふるまいを通じてお菓子を宣伝するものであ…

清代中国の医学

多々良、圭介. "清代における「病」への対策." 生活文化史, no. 65 (2014): 18-34. 中国では医療従事者のことを「医生」という。清代には、病気が治せると宣言する人は、誰でも医者として受け入れられた。医療市場が活発化して、商業化が進んでいた時代であ…

フランスでエクソシストがなぜ人気が出ているのか

www.economist.com フランスでエクソシズムがなぜ流行しているのか。エコノミストの記事がちょっと面白かった。ここでは、exorcism という語が、カトリックの司祭が行うものと、そうでない人たちが行うものの双方に使っており、どう訳していいのか分からない…

ダウン症の歴史のバーティー(2015年)

bit.ly 同志社大学で非常勤で教える障害の歴史学の研究者である大谷誠先生が、「医学史と社会の対話」に書いてくださった記事。少し前の話ですが、2015年の10月に、日本ダウン症協会の後援と主催で、麻布の南アフリカ大使館の大使公邸でパーティが開かれまし…

アメリカの社会心理学の確立者 J.M. Baldwin と20世紀初頭の「有色人種の売春宿」

Horley, James. "After 'the Baltimore Affair': James Mark Baldwin's Life and Work, 1908–1934." History of Psychology 4, no. 1 (2001): 24-33. Smith, Roger. The Norton History of the Human Sciences. 1st American ed. ed. New York: W.W. Norton,…

マトリョーシカ、南極、月と火星、そして崎陽軒

http://lib-arts.hc.keio.ac.jp/exchange/open/PDF/201709.pdf 慶應日吉キャンパス公開講座。今年の大きなテーマは「観光と開発」で、そのもとで普通に重要な主題や有益な話題が展開されているが、いくつか特別に面白い講義がある。 熊野谷先生の「ロシアの…

チジック・ハウスの精神病療養所の研究プロジェクト

museumofthemind.org.uk ロンドン郊外のチジック・ハウス。18世紀に完成された貴族の館で、現在でも人気があるスポット。この館の一角が精神病の療養所に使われていた。19世紀の末から20世紀の初頭の話で、患者はイギリスの富裕な人々で定員は30名から40名、…

モンテヴェルディ「エロティック・マドリガル」

http://amzn.to/2eXp5Nk 日曜の午前中に、庭仕事をして、少し仕事をして、午後にはモンテヴェルディの「エロティック・マドリガル」を聴いている。古くて中古でないと手に入らないけど、とても評価が高いCDらしい。30年ほど前に、渋谷の「フリスコ」という輸…

医療人文学の日本版は可能なのか

Heartfelt images: learning cardiac science artistically | Medical Humanities イギリスのBMJ の医療人文学系の主題の論文を集めた雑誌 Medical Humanities に面白い論考。これは芸術系の論考で、医学生と歯科学性に心臓に関連するアート作品を制作させて…

心臓と脳の外科医学についての書評 

Some surgeons may be psychopaths—but that’s no bad thing | Prospect Magazine イギリスの雑誌 Prospect にジョアナ・バーク先生の外科医についての二冊の書物の書評。とても面白いのでまず読んでみるといい。心臓と脳という二つの重要な臓器、外科手術の…

カレーのCMと食欲と性欲

www.glico.com ツイッターで時々登場するグリコのカレーのCM. ご覧になればわかりますが、食欲と性欲が完全に同期されている映像である。女優さんが辛いカレーを食べているのか、貪欲に淫乱に性行為をしているのか分からなくなるように作られていると私は思…

心臓の宗教的な意味

publicdomainreview.org 医学史の通史で17世紀の章に入った。血液循環のハーヴィーや機械論のデカルトを論じる章である。前回のパラケルススに較べるとずっと好きな人物たちなので、予習に向かう足取りも軽い(笑) ハーヴィーは『動物の心臓ならびに血液の…

一夫多妻制のメリットとデメリット(鳥の話です 笑)

日本野鳥の会の『野鳥』に面白い記事があったのでメモ。 『野鳥』2017年8月号(No.817)濱尾章二「鳥の繁殖生態学」 鳥のオスの交配行動を見て、一夫多妻がプラスなのかマイナスなのかに触れる。もちろん地雷だらけの場に踏み込むきわどい記述である。著者が…

ジャコメッティの夢の立体化

Giacometti, Alberto, and Barbara Wright. "The Dream, the Sphinx, and the Death of T." Grand Street, no. 54 (1995): 146-54. ジャコメッティが自分の夢、「スフィンクス」という名前の閉店する売春宿への訪問、そして友人の死、について書いた記事を読…

鎖国時代の疾病のエコシステム・メモ

Hanley, Susan B. Everyday Things in Premodern Japan : The Hidden Legacy of Material Culture. University of California Press, 1997. Rotberg, Robert I. Health and Disease in Human History : A Journal of Interdisciplinary History Reader. The …

山梨のコレラ・長崎のコレラ

飯島、茂. "山梨県下に於ける安政5年の暴瀉病流行日記市川文書に就いて." 中外医事新報, no. 1121 (1935): 282-88. 安政5年の江戸を含む地域のコレラ大流行の際に、山梨県下の人物が記した日記の採録。オリジナルとその記録についての情報が収録されているか…

パヴロフの伝記

Todes, Daniel Philip. Ivan Pavlov : A Russian Life in Science. Oxford: Oxford University Press, 2014. イヴァン・パヴロフはロシアとソ連の生理学者・神経学者で、イヌにベルの音を聞かせて餌をあげる条件反射の研究で名高い。ノーベル賞の受賞は1903…

夜長姫と耳男ー蛇の生き血と二つの疫病について

「夜長姫と耳男」(よながひめとみみお)は坂口安吾が1952年に刊行した短編で、「桜の花の満開の下」と並ぶ傑作のひとつ。飛騨の匠である耳男が3年かけて仏を彫る物語によせて、日本の民話の構成、敗戦後の男たちの空虚、性という亀裂などが描かれた作品であ…

江戸時代の民間治療 

眠竜翁, 宗哲 奈良, 正哲 前川, 政章 木内, 獨妙 申斎, 増業 大関, 恵 浅見, and 健 安田. 耳順見聞私記 . 袖珍仙方 . 竒方録 . 漫遊雑記藥方・農家心得草藥法 . 妙藥手引草 . 掌中妙藥竒方. 近世歴史資料集成. Vol. 第2期 ; 第10巻 . 民間治療 / 浅見恵, 安…

立ち食いの駅そばについて

駅そばを立ち食いで食べるのが好きだ。東京の立ち食いそばは、あまりにも安物だとか、そば色をしたうどんであるとか、色々と良くない真実があって、それほどいかない。あと、東京でそばを食べるなら、少しまじめになって座って食べることが多い。でも、他の…

精神疾患の写真と患者の経時的な人生について

Pearl, Sharrona. About Faces : Physiognomy in Nineteenth-Century Britain. Cambridge, Mass.: Harvard University Press, 2010. 第5章・6章が、19世紀後半のイギリスの精神医療における写真の利用を論じている。ヒュー・ダイアモンド、ジョン・コノリー…

ダッハウ強制収容所の医療人体実験の描写

www.atlasobscura.com ナチス・ドイツの強制収容所で、医師たちによる凄惨な人体実験が行われたことで悪名が高いダッハウ強制収容所。そこに収容されていたゲオルグ・タウバー (Georg Tauber) が、絵が結構上手で、SSの将校に見込まれて収容所内の様子を記述…

大学と学術の暗い将来について

www.timeshighereducation.com THE (Times Higher Education Supplement) からの配信。主にイギリスとオーストラリアの大学教員などを調査して出された議論。大学と学術のコアにおける深く根本的な浸蝕について。私自身、これを読みながら深く反省する部分や…

精神医療と音楽の歴史 参加申し込みページ 

igakushitosyakai.com 9月9日と9月16日に、東京都立松沢病院にて、以下の講演会を行います。参加費はいずれも無料ですが、お手続きのうえ、ご参加ください! 参加用のページを開設いたしましたので、そちらからお手続きが便利になります。 ***** 講演会 精神…

がんの放射線治療のラジウムの国際的な分配について

Oxford DNB: Lives of the week Oxford DNB の今日の人物はヘレン・チェインバーズ (Helen Chambers, 1879-1935) 20世紀初頭のイギリスの優れた医師で、放射線治療とがんの研究で優れた業績を挙げた。インドで官僚をしていた人物の娘として生まれ、ケンブリ…

精神医療と音楽の歴史 アウトリーチのお知らせ

9月9日と9月16日に、東京都立松沢病院にて、以下の講演会を行います。参加費はいずれも無料です。お手続きのうえ、ご参加ください! ***** 講演会 精神医療と音楽の歴史 2017年9月9日(土)14時30分~16時30分東京都立松沢病院リハビリテーション棟105号室 2…

精神医療の家父長的な体制についてのフェミニズムの批評

Wollstonecraft, Mary, and Gary Kelly. Mary, and, the Wrongs of Woman. Oxford World's Classics. Rev. and corrected ed.: Oxford University Press, 2007. 『マライア、あるいは女性の虐待』は、『女性の権利の擁護』で名高いメアリ・ウルストンクラフ…

パノプティコンとコリドーと精神病院

soundcloud.com ロジャー・ロックハースト先生のロイ・ポーター・レクチャーを聴いた。ロックハースト先生は英文学者で、トラウマ、ミイラ、ゾンビなどについての面白い本をたくさん出版している講演である。今回は恐怖について書いているようである。講演の…

身体診察 (physical examination) の重要性について

医学書院/週刊医学界新聞(第3231号 2017年07月10日) 週刊医学界新聞で医師3人による「身体診察」の重要性について。身体診察というのは英語でいうと physical examination で、医師の5感、特に視覚、聴覚、嗅覚、触覚を用いて患者の体に触れて、疾病を診断…