ラム氏、病気から回復する


 チャールズ・ラムの『エリア随筆』の中に、「回復期の病人」 (Convalescent)というエッセイがあることを知って、しばらく前に憶えた Project Gutenberg からダウンロードして読む。文献情報は、Lamb, Charles, and Mary Lamb, The Works of Charles and Mary Lamb, 5 vols, vol.2, Elia; and the Last Essays of Elia, edited by E.V. Lukas (London: Methuen, 1912)である。

 病気になってから回復するまでの事情-わりと短い期間である-が、ラムらしいユーモラスな筆で書かれて、読んで楽しい。物語のストーリーラインとしては、二つの主題が重要である。病気でいるときには、病人の唯一の関心は自己であるが、治り始めた途端に仕事が生活に入ってくる。そして、それと重なって、病気でいるときには家の中の絶対君主だが、治り始めると急激に権力を失うこと。家の中の権力関係の布置の話は、この間でた本でさんざんしたが、このテキストは知らなかった。読んでおけばよかった・・・と思うテキストがなんと多いことか。

画像は心気症の患者。 なるほど、かしずかれている王様だ。 説明によると患者は女性だそうだけど。19世紀のアメリカから。NLMより。