今日は無駄話を少し。素材は、2006年12月31日にNHK総合TVなどで放送された「第57回 NHK 紅白歌合戦」。イスラエルのロボトミーとか、古代ローマの養生論だとか、19世紀ドイツの疾病分類といった話題が主体だったこのブログが、国民の40%が視聴したマテリアルを記事にすることは、これからもないと思う。
DJ OZMA のステージが物議をかもしている紅白だけれども、私がそれよりも気になっていることがある。ネット上ではさぞ議論が沸騰しているのだろうと思うけど、NHKから公式の<お詫びと訂正>はないようである。紅白の中で「英語でしゃべらナイト」という番組の出演者が呼ばれて、年の瀬にちなんだ英語を教えるという小企画があった。たぶんアンジェラ・アキさんという、眼鏡をかけた女性歌手の歌の前だったと思う。その中で「大晦日を英語で何というの?」という問題があって、画面に出た正解は
New Years's Eve
だった。 以下の Hiroさんのブログに画像が貼ってあります。
これはもちろん
New Year's Eve
が正しい。私の見間違いかと思って、念のため、NHKにメールを打って確認までしたところ、「ご指摘いただきましたとおり確かに間違いでした」というお返事もいただいた。英語の教育番組のスタッフが出てきて国民に英語を教えるコーナーでの露骨な間違いは、やっぱりちょっとまずい。しかし、紅白の品格について文部科学大臣までが不快感を示しているいま、英語教育の看板番組との絡みで大げさに<お詫びと訂正>を出すのはもっとまずい(笑)。 ほとぼりが醒めた頃、どこかで静かに<お詫びと訂正>が出るのだろう。あるいは、もう出ているのかしら。
思い出した話題を一つ。しばらく前にイギリスでベストセラーになった Lynn Truss, Eats, Shoots & Leaves という本があって、これはものすごく面白い本だった。最近の英語に氾濫する句読点の間違いを怒ってみせる、という趣向である。その中からタイトルにもなっている Eats, Shoots & Leaves のエピソードの紹介。これは、百科事典の「パンダ」の項目の記述らしい。
“Panda: Lage, black-and-white bear-like mammal, native to China. Eats, shoots, and leaves.”
“eats, shoots and leaves” のコンマがこの位置にあると、「食べて、(銃などを)打って、逃げる」という、拳銃を持った強盗系のただ食い動物の意味である。もちろん本当は「パンダは、新芽や葉を食べる」(“eats shoots and leaves”)と書きたかったのだけれども。