チベットの伝統医学






 チベットの伝統医学についての豪華本を読む。文献は The Tibetan Art of Healing, foreword by His Holiness the Dalai Lama, painting by Romio Shrestha, text by Ian A. Baker (London: Thames and Hudson, 1997).

 テキストはチベットの伝統医学の特徴の基礎を平易に語り、ダライ・ラマが序文を書いているとかいうボーナスもあるが、この書物の魅力の大部分は、豪華なオールカラーの図版である。チベット仏教絵画の第一人者が、伝統医学の図版に倣って描きだす極彩色の絵はどれも美しく、非西洋医学の対抗文化の魅力に満ちている。図版は、それぞれチベット医学のテクニカルな説に一致しているらしい。対抗文化医学が、美しく、東洋哲学の神秘の雰囲気を漂わせ、ときどきちょっとだけエロスな、コーヒーテーブル・ブックになったと考えればいい。 

 画像は本書より。上の二枚は解剖図(チベット医学では解剖が行われていたそうだ)で、以下は脈診、舌や尿などの診断技術を現わす幹、そして毒薬の起源。