犬はびよびよ、姫君はあざあざ(笑)

知人に薦められた本を読む。山口仲美『犬は「びよ」と鳴いていた - 日本語は擬音語・擬態語が面白い』(東京:光文社新書、2002)こういうのを学海余滴というのだそうだが、偉い学者が一般向けに書き下ろした新書で、とにかく面白い知識が満載である。新書はこういうものを書けばいいというお手本なのだろう。

「わんわん」「にゃんにゃん」などの擬音語・擬態語の多さは、日本語が持つ大きな特徴である。英語の3倍とも5倍とも言われているそうだ。擬音語は歴史を通じて変わる部分もあるし、変わらない側面も持っている。例えば、1970年代と2000年の新聞・週刊誌などに現れた擬音語を比較してみると、最近の擬音語は恋に落ちる「びびびっ」とか、ビールを飲む「ブッハァ~」など、「どぎつく過激に」なっているそうだ。一方、特別に擬音語が多い『今昔物語』に登場する擬音語53種類のうち、「こそこそ」「はらはら」など約半分の23語は、現代でもそのまま残っており、多少の変更を加えれば現代と同じものを加えると、約6割が現代の擬音語とほぼ同じといえる。

とにかく面白い話題がありすぎて、どれを紹介していいか迷うけれども、クイズ仕立てで一つ。「源氏物語の姫君の擬態語クイズ」です (笑) 

次の①~④は、『源氏物語』の中で、ある姫君ないしその動作に特定的に使われている擬音語・擬態語です。それぞれの擬態語は、どの姫君に使われているか、A-Dの中からそれぞれ選びなさい。

① おぼおぼ ② けざけざ ③ なよなよ ④ あざあざ
A. 紫の上 B. 玉蔓 C. 浮船 D. 夕顔