妖怪画集



出張の新幹線の中で江戸の妖怪画の巨匠の作品集を眺める。文献は、鳥山石燕画図百鬼夜行全画集』。角川ソフィア文庫からコンパクトな本が出ていて、200点あまりの作品が定価667円でとてもお買い得。それぞれの妖怪にもうちょっと説明がついていると面白いのだけれども、よく由来がわからないのを姿だけ見て、この妖怪は・・・と想像するのも楽しい。

中国の古典や謡曲などに基づいた、素性をただせばハイカルチャーな妖怪が多いけれども、作品は、日常の俗っぽい風景の中にセットされている。上田秋成のように幻想的というよりも、妙にリアルな感じがする。また、古典の作品やそれぞれの土地に密接に結びついた個性的なキャラクターが多いので、なんとなく博物誌的にコレクトしたくなる。-というか、そうやってコレクトして整理したのがこの本なんだけど。

気に入った妖怪、気になった妖怪はたくさんいるけれど、一番説得力があったのは、反枕(まくらがえし)。説明はなかったけれども、眠っている間に、自分の上を浮遊して、気がつかないうちに夢の中に入ってきそうな妖怪である。朝起きて枕が反対になっていて、はじめて気がつく、みたいな。これって、フュースリーの『夢魔』そのものじゃないか(笑)