『毒と薬の世界史』

未読山の中から、中公新書から出ている船山信次『毒と薬の世界史―ソクラテス、錬金術、ドーピング』を読む。

毒と薬についてのちょっと気が利いたエピソードをたくさん拾ってきて、それを年代順にざっと配列してできた新書。ソクラテスはドクニンジンを飲んだけれども、それはコニインという神経毒を含んでいるとか、シーボルトはベラドンナと日本の「ハシリドコロ」が同じ効果を持つと見抜いたとか、そういったこぼれ話を集めた新書である。その目的をいったん受け入れた上で、気持ちを取り直して読むと(笑)、それぞれのこぼれ話はなかなかセンスよく語られていると思う。