シペリウスのピアノ曲

今日は無駄話。

音楽はあまり聴かないから、なかなか好きな音楽のレパートリーが広がらない。これは、私が一番よく聴くのがオペラだということと関係があるのかもしれない。オペラというのは、一握りの作品が何度も繰り返して上演される、クラシック音楽の中でも一番固定的で硬直したジャンルだから、一通り定番の作品を聴いてしまうと、それを聴きなおすということが主な音楽の楽しみになってしまい、新しい作品に出会うことはとても少ない。

そういうときに、人に勧められた曲を聴いてみるというのは、レパートリーを広げる一つの方法である。好きな演奏家があまり有名でない曲を演奏しているCDを買うということもしているし、好きなレコード評論家が勧めるものを買ってみることもある。20年も前の話しになるけれども、渋谷の東急ハンズの近くにちょっと雰囲気がいい輸入CDのお店があって、そこでかけられているものにほれ込んで買うこともよくあった。まあ、偶然まかせで、ほぼランダムにCDを買っているといってもいい。時々、アマゾンの「おすすめ」にひっかかって、美しい女性演奏家がエレガントに肩を露出させたドレスを着ている写真をあしらったCDを買ってしまうけれども、この買い方でうまくいったことは一度もない(笑)。

CDのSの棚に、これまで気がつかなかったけれども、シペリウスのピアノ曲のCDがあった。アネット・セルヴァデイ(Annette Servadei)というピアニストが弾いている、シベリウスのピアノ作品集5枚組みのCD 5 である。他の4枚は持っていない。無知を白状すると、シベリウスがピアノ曲を書いていたなんて知らなかったし(ずっとそのCDを持っていたくせに)、この演奏家ももちろん知らない。なぜこのCDを持っているのか記憶をたぐっても、思い出せそうで思い出せない。

曲をかけてみた。「三つの作品」とか「八つの小品」とか「五つのロマンティックな小品」とか、タイトルとは言えないようなタイトルがついているものばかりだったけれども、どれも、古典的でわかりやすく、優しい旋律で、どこかで聴いたことがあるような作品ばかりだった。

レコードを聴き終わってだいぶして、誰にシベリウスのピアノ曲なんかを教えてもらったか、なんとなく思い出せたような気がした。 私が内心密かに期待していた、ロマンティックなオチではありませんでしたね(笑)