アルメニアのチェス

今日は無駄話。

イギリスの月刊誌の『プロスペクト』を10年以上購読している。日本でいうと「総合月刊誌」というくくりが一番近いだろうけど、たとえば『文芸春秋』に較べたら、値段はほぼ同じだけれども、1/5くらいの厚さしかない。割高感はあるけれども、記事の水準は圧倒的に高いし、国際的な知の公共圏でどんなことが議論されているのかということが分かるという安心感、あるいは少なくとも錯覚を与えてくれる。

その中で面白い記事があったので。アルメニアのチェスの天才、レヴロン・アロニアンの話に絡めて、アルメニアがなぜチェスが強いかという話。

アルメニアは人口300万人弱の旧ソ連の小国だが、チェスの世界では一流国で、チェスのオリンピックでは、2006年、2008年と連続で金メダルを取っている。「グランドマスター」の称号を認められたチェスの名人が世界で1200人くらいいるそうだけど、そのうち27人はアルメニア人で、人口比でいうとロシアよりもずっと多い。ほかにチェスが強い民族というと、ユダヤ人が思い出されるそうだけど、ユダヤとアルメニアは似ているそうだ。どちらも長く祖国を持たず、ディアスポラを繰り返しながら、強い民族性凝集性を持ち、教育熱心で少数民族として大国の中で重宝され、それと同時に疎まれるというところだそうである。前のグランド・チャンピョンのカスパロフの母はアルメニア人だったそうである。ちなみに、アルメニアのアロニアンの父はアルメニア人、母はユダヤ人だそうだ。