ロイ・ポーター『人体を戦場にして』

必要があって、ロイ・ポーターの医学史の通史を読む。文献は、法政大学出版会から出ている『人体を戦場にして』。訳者は、ポーターの書物の訳者として定評がある目羅公和である。

テーマごとの構成を取っていて、「疾病」「医者」「病院」「研究室」など、医学史を縦割りにして、それぞれの章でギリシアから現代(主として20世紀半ばまで)を鳥瞰している。この構成にはメリットとデメリットの双方があるけれども、「病院」は傑作の仕上がりになっている。該博な知識をあまりに凝縮しているので、初学者が自分で読んでも、少なくとも日本語だとポイントが取りにくくなっていて、どちらかというと、先生に講義してもらいながらの副読本として使うのが優れている。集中講義か何かにいいんじゃないかな(笑)