死刑囚の最後の食事


ソフィー・ダールというイギリスのモデル・女優・物書きがいて、もちろん美人だけれども、児童文学のロアルド・ダールの孫娘ということで、なんとなく親しみを感じている。最近は料理本も書くようで、その流れでイギリスのファッション雑誌のVogueに書いていた “Last suppers” という記事が面白かったので、無駄話。

私はまったく知らなかったけれども、アメリカの刑務所では、死刑囚に最後の食事の希望を取るという伝統があるそうだ。常識と一定の規則の範囲で、最後の日に何を食べたいか希望をかなえるという。Wiki によると、フロリダでは合計40ドル以内、テキサスでは刑務所のシステムの中で入手可能なものを原則とする、普通、酒とタバコはだめ、など。 

そして、その食事の内容と、どんな死刑囚かということが、州の裁判所のウェブページに出ている。ダールがあまりに魅力的に書いているから、普通はウェブページなど訪れない私も行ってみた。

確かにすごい。テキサスで死刑にされた犯罪者たちの名前と処刑年月日と最後の食事の内容が書いてあって、年齢、性別、前科、犯罪の概要(死刑になるくらいだから重大な犯罪である)、そして写真。奥さんと近くのコンビニの女性を二人、銃を発砲して殺して死刑になった男は、死刑執行の前日に、「ベーコンダブルバーガー二つ、フレンチ・フライ、オニオンリング、ケチャップ、コールスロー、ダイエットコーク(以下略)」を最後の食事として請求した。

たったそれだけのフォーマットの情報が坦々と並んでいるだけなのに、どうしてこう、鉛が胸につかえたような気持ちになるんだろう。


・・・で、こういう記事をアップすると、「似たような記事」の機能のおかげで、「死刑囚 最後の晩餐」という本が訳されていることを知るんですね。 薄々、そんなところだろうなと感づいてはいましたけれども(笑)

画像はサイトから。三人の殺しを引き受けて、一歳の子供とその両親の合計三人を殺した。子供はコットの中で銃殺したという。この殺人鬼の最期の食事は、チキン・フライド・ステーキ(ってなんだろう)、グレイヴィー、フレンチフライドポテト、サラダ、ブルーチーズドレッシング、アイスレモンティー、ソーダ二本、ロールパンとバター、だという。 

これほどインパクトがある情報の切り出し方と並べ方に出会ったのは久しぶりだという気がする。