西遊記(十)

最終巻では天竺国に入る。これまでも立派な国はあったけれども、さすがに文明の地の天竺に入ると、一国一城をなすような妖怪と戦いを交えるというよりも、人間に化けて国や都市の中に潜んでいる妖怪の正体を見抜いて戦うという設定が多い。

最後の大きな冒険は、にせお姫様のエピソードで、手が込んだ設定になっている。まず、一人の若く美しい女が寺に身を寄せていて、彼女は身を守るために狂人のふりをしていて、狂人らしい座敷牢のようなところにいる。(とても興味があるこの設定が、完全には腑に落ちないのだけれども、まあいい。)この女は実は王の娘が追い出されたもので、王の娘には、女の妖怪がなりすましていて、この妖怪が三蔵と夫婦になるべく、結婚式の準備が進められる。悟空は、この王の娘になりすましているのは月の兎が転じた妖怪であると見抜き、これと戦って打ち負かす。