戦前知的障害者施設の歴史

必要があって、戦前知的障害者施設の歴史の研究書を読む。文献は、山田明『戦前知的障害者施設の経営と実践の研究』(東京:学術出版会、2009)

滝乃川学園や八幡学園など、知的障害者施設に残っている古い記録を使って施設の歴史を書いた書物である。私は精神病院だけれども、似たようなタイプの資料を使っているから、色々と参考になる。経営に関する記録が残っていたのはうらやましい。

「中外商業新報」(のちの日本経済新聞)の1941年5月27日から6月17日にかけて、「光明の家に育む」という連載が掲載された。石田博英という中外の記者が執筆したものであった。石田は、進学をめぐって父と対立し、当時教育者として名高かった伊豆大島の藤倉学園の川田貞治郎の指導を受けにいった。そこで川田に大きく感化され、そのときの印象がこの連載につながっているという。この連載は、『忘れられた子供たち』というタイトルで1942年に出版され、46年にも同じタイトルで再版されている。