後藤新平

必要があって、後藤新平の一般向け衛生講演を読む。文献は、後藤新平「至高の財産」『埼玉衛生雑誌』48号(1888), 1-15

明治21年11月18日に児玉郡本庄宿安養院にて大日本私立衛生会埼玉支部の常会で、後藤新平が講演をしたものの筆記録。一般の聴衆に向かって、この世で最も貴重な宝・財産は「生命」であるとのこと。これを守るのは、まず自分自身の力、次に医者、第三に衛生会であり、病気になったときに医者に診てもらうのではいけないこと。衛生学者が衣服は第二の皮膚、家は第三の皮膚というように、家のつくり、井戸や排水に注意しなければならないこと。これは、いまの世の中では家相見ではなく衛生会の言うことに従わなければならないこと。こんなことがたとえ話を混ぜながら説明されている。自律的な衛生市民を作ることが基本的な目標になっていることを確認できる、いいテキストである。