コレステロール研究の100年

必要があって、1985年に動脈硬化の原因となるコレステロールの体内合成のメカニズムについての研究でノーベル賞をとった学者による研究の回顧を読む。文献は、Goldstein, Joseph and Michael S. Brown, “Cholesterol: a Century of Research”, HHMI Bulletin, September 2003, 18-19.

コレステロール研究の歴史を、四つの流れにわけて大局的にわかりやすくまとめている。 1) コレステロールが動脈硬化の原因であるという考え方は意外に古く、1910年にはすでに大動脈のプラークを分析してコレステロールの割合が高いという報告がある。このような実験的な流れがひとつ。2) 遺伝的研究。先天的にコレステロールが高い患者の研究。3)疫学的研究。フラミンガム心臓研究(1948-)など、長期的な追跡調査で心臓病のリスクが研究され、血中コレステロール濃度と心臓病のインシデンスの直線的な相関関係が示された。4) 治療。遠藤章のスタチンのように、HMG-CoA還元酵素を阻害する物質が、動脈硬化のインシデンスを下げ、寿命を延ばす。90年代にはいって、一連の大規模臨床研究で、実際にスタチンが効くことが分かる。