鈴木梅太郎

必要があって、鈴木梅太郎の回顧と講演を集めたものを読む。文献は、鈴木梅太郎『研究の回顧 (伝記・鈴木梅太郎)』(昭和18年)末廣雅也解説(東京:大空社、1998)

鈴木は高校の日本史の教科書にも出てくる有名な化学者である。研究の背景は、白米の毒性問題であった。インドネシアで実験をしていたオランダ人アイクマンがニワトリに白米だけを食べさせると脚気様の病気になって死ぬこと、糠をまぜると死なないことから、白米の「毒性」が話題になっていた。これを背景にして、ドイツからたんぱく質の分析方法を学んで帰ってきた鈴木は、日本人の体格が悪いのは白米に含まれているたんぱく質がよろしくないからだと考えて、色々な実験をしていたが、アイクマンの実験を知って、糠から微量栄養素を抽出して、これにオリザニンと名前をつけた。その一年後に、イギリスのフンクが同様の有効成分を抽出し、これに「ヴィタミン」と命名した。これは、後にビタミンB1とされ、その後のビタミン発見ラッシュの先頭を切るもので、世界的な業績である。

一か所、ヴィタミンとホルモンの関係を少し推量しながら、食物を合理化すれば国民の体位が向上し、各国が競ってこれを研究するのも優秀なる民族を作り上げるためである、と書いている個所があった。鈴木は、白米は不完全な食品であり、何らかの形でそれを補わなければ、日本人の体格は良くならず、また、補えば、必ずよくなると信じていた。牛乳を飲むことが彼の処方箋であったが、浅草海苔と白米で、白米の有する欠点を補うことができると力説している個所もある。浅草海苔にお醤油をちょっとつけてご飯をくるんで海苔巻にして食べる、というのは、太古の昔から行われている食べ方のような気がしていたんだけど、意外に新しいのかな。