『シャッター・アイランド』

知人に勧められていたこともあって、出張の飛行機の中でマーティン・スコセッシ監督、ディカプリオ主演の映画『シャッター・アイランド』を観る。

時代と場所の設定は1950年代、触法精神病患者が収容される孤島の精神病院。そこで女性患者が脱出したという知らせをうけて、ディカプリオ演じる捜査官(Marshall というんだけど、なんと訳すのだろうか)が同僚と二人で捜査にやってくるところから話は始まる。ディカプリオは(笑)、第二次世界大戦時の強制収容所の解放に携わったが、その時に目撃した光景のトラウマと、その後に妻を事故で死なせたトラウマのために苦しんでいたが、精神病院の捜査を始めてから幻覚や悪夢が激しくなり、彼の妄想の中の人物の行動が、精神病院の他の患者の行動と重なり合うようになる。そのうちディカプリオは、島の洞穴で、この精神病院は、人に幻覚や妄想を植え付けて洗脳する実験をしている悪魔の精神医学人体実験であると唱える、病院を脱走した精神医であると称する人物に出会う。彼女が言うとおり、精神科医たちはディカプリオの幻覚と夢と妄想を操作して、他の患者の妄想であると描かれていたことを、すべて自分の人生に「現実におきたこと」であると信じ込む立派な精神病患者になる。しかし、彼は自分がだれかという基本について昔通りの意識を残していたので、ロボトミーを行われることになるということが示唆されて映画は終わっている。

歴史的背景としては、第二次大戦のトラウマと「洗脳」と「向精神薬」、それからもちろんロボトミー。これはどれも当時の精神医学の大事件で、上手に映画に取りこんである。