『イタリアを旅行したイギリス人辞典』

本棚を眺めていて、あまり使わなかったレファレンスが目にとまったから、それについて無駄話。文献は、Ingamells, John, ed. A Dictionary of British and Irish Travellers in Italy 1701-1800 (New Haven: Yale University Press, 1997)

18世紀にイギリスの貴族や上流階級の若者が、イタリアの名所を巡って美術や遺跡に触れるという習慣が定着した。いわゆる「グランド・ツアー」である。そのような旅行者自身や、修行にいった音楽、絵画、彫刻などの芸術家、古物収集家、銀行家など、とにかくイタリアに行ったことが知られているイギリス(ブリテン+アイルランド)人をすべて網羅した辞典である。(医者も少しいる。)そのイギリス人の名前、イタリアに滞在した場所や時期などについて、典拠と参考文献を記した合計1000ページの大冊である。

このレファレンスは、イタリアに転地療法に行ったイギリス人を組織的に調べようとして買ったのだけれども、その研究は結局不発で、小さな論文を一本書いただけで終わってしまった。