エーテル・ドリンキング

新着雑誌から20世紀ポーランドのエーテル・ドリンキングについての論文を読む。文献は、Zandbergt, Adrian, “’Villages … Reek of Ether Vapours’: Ether Drinking in Silesia before 1939”, Medical History, 54(2010), 387-396.

医学史のエーテルはその麻酔効果が有名だけれども、すぐに医学用ではなく娯楽用に用いられた。19世紀の末にはアイルランドやアメリカなどでエーテル乱用が問題になっていたが、1930年代以降のポーランドでも問題になっていた。ポーランドでは、貧困と不況の影響で、エーテルはウオツカの安価な代替物として飲まれた。記述から判断するに、実際にグラスに入れて飲むという形で飲用されたらしい。濃縮ラズベリージュースと混ぜて水で割って飲むという方法が人気があったという。そのため、エーテルを飲むのは農民か鉱夫が多く、上流階層はウオツカを飲んでいた。エーテルがひどい臭いがするというのも避けられた原因であるとのこと。