ボーデン湖に行った

外国出張で空いた時間を利用して、ドイツ、スイス、オーストリアの国境にあるボーデン湖にいった。遊覧船代わりにフェリーに乗った。三つの国の国境だけど、警備艇に衝突してくる漁船の船長もいない、平和な湖だった。

フリードリッヒスハーフェンという駅の目の前がもう湖だった。朝もやの向こうにスイス・アルプスが見えていた。荒々しい山の岩肌には、ところどころに雪が置かれていた。湖の対岸には、大きな街や小さな村が点々と連なっていた。名前を聞いたことがあるコンスタンツという街に行こうかと思ったけれども、片道二時間もかかるときいて、40分でいけるローマンスホルンという所と往復する乗船券を買った。地図で見ると、ボーデン湖を最短距離で横切るような航路だった。湖面からあまり高くないところに、薄い鉛色の雲の層が広がっていて、どういう光の加減か、遠景の空はどころどころかすかに金色に輝いていた。客のほとんどは家族連れか年金生活者の夫婦だったけれども、10人くらいの若者が、デッキの最前部に陣取って背が高いグラスでビールを飲んでいて、ときどき野太い歓声を上げていた。