芸術新潮「恋する春画」

今月号の芸術新潮春画特集。美しい印刷でたぶんレアな春画がたくさん掲載されているし、早川聞多などの権威や橋本治などの才人が解説を書いているので、この号は売り切れるのかもしれない(笑)

とてもたくさん勉強させていただいて、春画は人に送ったとか、女性も読み手であったとか、ボーイズラブの主題であったとか、色々な知識を得た。春画に対する幻想のようなものを捨てることができた。

私自身が春画に対してポジティヴな感情を持てない理由はたくさんあるけれども、ひとつが、表現の問題がある。二つの表現の哲学というか美学が、互いを損なうような仕方で混在しているという印象を持つ。表情や着物を描くときは、普通の浮世絵で使われるような、肉体の厚みを消去するかのような線で表現する技法と、性器や陰毛を描くときの肉体の現実をこれみよがしに表現する技法が混在していることに違和感を感じるからだろう。西洋かぶれと言われればそれまでだけど。