『ツーリスト』『ノルウェイの森』

飛行機の中で映画『ツーリスト』『ノルウェイの森』を観る。

前者は、アンジェリーナ・ジョリージョニー・デップの二人の大スターが主演していて、わかりやすい筋立てのサスペンスに、有名な観光地でのアクションを組み合わせた、なんというか、こう、機内映画のために作られたような映画である。アメリカのアクション映画にはカーチェイスが欠かせないが、舞台はヴェニスだから、普通のカーアクションができないので、運河をモーターボートが爆走するアクションにしていた。アンジェリーナ・ジョリーは機内映画の女王ですね。こういう表現は、たぶん、ほめたことになるのだろうな。

ノルウェイの森』は、トラン・アン・ユンが監督した映画。この監督の『夏至』は、だいぶ前にBunkamura で観た。鮮明に構図化され、静止的で動きが少ない画面の中で、とても印象的に「何か」を動かして目に焼き付けるような映像処理をする監督だったと記憶している。その「何か」というのは水の流れだったり、セックスをする男女の動きだったりした。『ノルウェイの森』でも、同じような手法で空間が処理されていて、映像は素晴らしかったし、音楽もよかったように思う。映画から受ける印象は、原作が表現している何かとは違うような気がしたけれども。