杉江董「反社会的危険性」

杉江董「反社会的危険性」『刑事法評林』2(1910), no.7, 779-803.
杉江董「精神病者の社会的危険性に就て」『日本犯罪学会年報』1(1914), 20-31
犯罪者の人格・性格を研究することが非常に重要になる。
すべての精神病患者は一時的すなわちある機会に際しては社会的危険性を発露する潜在的危険性がある。巣鴨監獄から脱走し、精神病を理由にして無罪釈放された患者がいるが、彼らは、その後凶悪な犯罪を繰り返した。虎を野に放つようなもので、人を食っては帰り、食っては帰りである。
巣鴨病院(423人)では、犯罪的精神病者(無罪になったもの)21人、精神病的犯罪者(監獄で精神病を起こしたもの)2人、そして軽微な不良行為危険行為をおこしたもの200人 しかし、病院内では、困らせるものもいるが、数としては38人のみ。
ことに不良危険な患者で、そのせいで病院全体の秩序が乱れてしまう患者、すなわち
不良背徳に基づく習慣的危険性をもち、比較的明晰な意識をもち、たえず院内全体の安寧秩序を見出し、繊弱な患者をいじめ、医師看護人を困らせ、命令に反対し、他の主導者となって扇動し、不法監置に対する理屈を並べるなどの患者がいる。これらは、巣鴨では、400人のうち4人くらいだが、これらを狂躁室に入れるのが唯一の方法で、これはよろしくない。狂躁特殊な保護室の病棟を作って、そこに収容するべきである。