飢餓状態とスキゾフレニア

Susser, Ezra S., “Schizophrenia after Prenatal Exposure to the Dutch Hunger Winter of 1944-45”, Archives of General Psychiatry, 49(1992), 983-988.
妊娠の初期に栄養が不足することは、スキゾフレニアのリスクファクターになるという仮説があり、その仮説を検証する実験として、歴史的に限定された「食糧不足」の時期に胎児期を過ごした人々にスキゾフレニアの発病率が高くなっているかどうか調べる研究である。1944-45年のオランダでは、ナチス・ドイツによる封鎖により、その西部地方において激しい食糧不足が発生し、南部・北部地方では発生しなかった。オランダには優れた包括的・網羅的な精神病患者記録がそろっているから、この記録を使えば、それぞれの地域で胎児時代の初期を過ごした人々がスキゾフレニアを発病する可能性が分かるということになる。計算の結果は、女性については有意な差がみられるとのことである。ううむ。