大連の都市設計と公衆衛生


Perrins, Robert John, “Doctors, Disease, and Development: Engineering Colonial Public Health in southern Manchuria, 1905-1926”, in Morris Low ed., Building a Modern Japan: Science, Technology, and Medicine in the Meiji Era and Beyond (London: Palgrave Macmillan, 2005), 103-132.
満州の植民地医学の研究者であるペリンズが、日本が大陸にもたらした文明の象徴であった大連の都市設計と公衆衛生について長い論述をした必読の論文である。大連はもともとロシアが極東支配の拠点として建設を始めていた都市であったが、ポーツマス条約で日本に譲られることになり、日本にとっても大陸を文明化する象徴であった。しかし、1911年のペスト、1918-19年のスペインかぜなどの大きな疫病の脅威・被害があり、常に侵入する野蛮としての疫病(特に中国由来)と闘いながら維持される文明であり植民地支配であった。満鉄病院はその戦いの拠点として設計されていた。