中村禎里『日本近世の生命観(1) 身体と生命』

中村禎里『日本近世の生命観(1) 身体と生命』(東京:私費出版、2012)
中村先生は日本の生物学史研究の第一人者であり、ルイセンコ論争、ハーヴィの血液循環から、狐や狸の民俗学まで多くの書物を出版している。この書物は生殖器の解剖学と生殖の生理学についての江戸期の人々の見解を細かにまとめている部分と、間引きや堕胎についての議論を研究者の議論からまとめている部分の二つから構成されている。多くの出版された文献にあたった本格的な概観で、持っているときっと役に立つと思う。私が知る限りでは、この書物は日本科学史学会に入会して中村先生個人にはがきでお願いするというのが唯一の入手の方法である。