第一次大戦とドイツの戦争神経症

Doris Kaufmann, Science as Cultural Practice: Psychiatry in the First World War and Weimar Germany, Journal of Contemporary History, Vol. 34, No. 1 (Jan., 1999), pp. 125-144. 第一次大戦においてドイツの軍と予備軍は合計すると約60万人の戦争神経症の患者を出し、これの治療を軍から任されたドイツの精神医学にとって巨大な実験室の様相を呈した。 個人が生来あるいは獲得する長期的な土台としてのconstitution と呼ばれるものと、正常・異常な心理状態との関係をさぐることができるというモデル。人格・性格論と精神医学との関係。ドイツでは戦争神経症が精神医学に任されたが、イタリアやフランスならもともとは軍事法廷にかけられていた。個人の内部の内なる闘争というモデル。人種や地域差を強調する優生学の視点と共存する。