『<狂気は文明である>―精神医学の診断が社会的であったとき 1948-1980年』

Staub, Michael, Madness Is Civilization: When the Diagnosis was Social, 1948-1980 (Chicago: University of Chicago Press, 2011).

『<狂気は文明である>―精神医学の診断が社会的であったとき 19481980年』

 

20世紀後半の精神医学を、アメリカの文化の劇的な変動と連動させて理解した書物。精神医学と文化の連関、特に文学や映画や音楽などの連関の分析が特に優れている。特に、ベトナム戦争を背景にした批判と不安の時期に、女性運動が盛り上がり、薬物がインテリと反体制派の行為になり、反精神医学がもっとも情熱的に信じられるという、文化の激変期の60年代から70年代がスリリングに描かれている。「精神医学の文化史」としての成熟を感じる。