ナイチンゲールの声の録音

f:id:akihitosuzuki:20140213085252j:plain

 

ナイチンゲールは(1820-1910 は、クリミア戦争(1853-56)の戦地における看護で著名となり、イギリスで看護を改革して新しい看護のモデルを世界に広めた人物である。クリミア戦争時の1854年に起きたバラクラヴァの戦いはイギリス軍の軽騎兵旅団がロシアの要塞に突撃する激戦であり、同年にはアルフレッド・テニソンが「軽騎兵旅団の突撃」( The Charge of the Light Brigade)なる物語詩を発表して戦争の記憶として定着した。1890年には、この激戦に参加した英雄の兵士たちが、それとは裏腹の貧困と窮状に陥っているさまが世論に取り上げられて、義援団体が作られてさまざまなキャンペーンが行われた。その一つは1890年にラドヤード・キプリングによる「軽騎旅団兵たちの最期」(The Last of the Light Brigade)の出版であり、この作品は、老いた兵たちがテニソンを訪れ、昔の栄光だけでなく現在の窮状を描く作品の続きを書いてくれと頼む内容になっている。それと同年に、クリミア戦争の看護で名高い国民的な象徴であるナイチンゲールがバラクラヴァの兵士を激励するメッセージが録音された。内容は次のようなものである。

 

When I am no longer even a memory, just a name, I hope my voice may perpetuate the great work of my life. God bless my dear old comrades of Balaclava and bring them safe to shore. Florence Nightingale.

 

ナイチンゲール自身が録音した事情などは、私がいま手持ちの資料ではよく分からないし、内容も掴めていない部分がある。

 

この声は、1930年代にも78回転のレコードに録音されて人気が出たという。BLのサイトでは1890年のオリジナルを聴くことができ、YouTube ではそれからダビングされたレコードの録音を聴くことができる。

 

http://www.bl.uk/onlinegallery/onlineex/voiceshist/flonight/

 

http://www.youtube.com/watch?v=ax3B4gRQNU4

 

ちなみに、キプリングの作品がすぐ読めたので読んでみたら、ヒポクラテスの「箴言」が共鳴している部分があったのでメモしておく。

 

They felt that life was fleeting; they knew not that art was long,

That though they were dying of famine, they lived in deathless song.

 

Life is short,

and art long,

opportunity fleeting,

experience perilous,

and decision difficult.