「鞭打ち症」の研究

「鞭打ち症」という言葉がマスメディアに取り上げられ、1967年(昭和42年)4月には慶應医学部・病院が精神神経科外来に「鞭打ち症外来」を設置した。その中で行われた難治例の鞭打ち損傷慢性患者の研究。

 

鞭打ち症や鞭打ち損傷というのは、自動車交通事故のときヘッドレストがない場合には、猛獣使いの鞭のように頸部がしなるという意味で命名されたとのこと。英語でも whiplash injury といい、1928年にアメリカの Crowe なる外科医によって記録されたという。現在では外傷性頸部症候群と呼ばれ、外傷後神経症とは区別されているが、この論文では、よい経過をとるものと慢性の難治例のどちらも鞭打ち損傷といっている。

 

小此木啓吾・鈴木敏生・塚田浩二・木村聡・深津千賀子・佐伯喜和子「いわゆる鞭打ち損傷慢性患者に特有な心理・社会的状況」『精神医学』vol.11, no.11, 967-878: 1969.