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医者たちから見た戦後の新しい女性

『正木不如丘作品集』全7巻(1967)の中から。

著作集の第2巻におさめられている「医学部教室展望」が面白い。「グレタ・ガルポ」というあだ名を付けられたとびきりの美人記者が、医学部の教室を次々と訪れるという設定の話である。連続ドラマや連載漫画にぴったりだから、すでに利用されているかもしれない(笑) 法医学、外科、精神科、皮膚科など、さまざまな教室ごとに小事件が起きる。おそらく当時の感覚でいうと、お洒落なセンスで書かれた文章で、読んで時々楽しいけど、基本ラインは、ホモソーシャルな大学医学の男性社会から見た、賢く美人で将来の妻にいい女性という設定である。医者たちから見た美人で賢くてちょっとエロくて自立した仕事を持っている女性が描かれているといっていい。大学の教授・助教授・医学生の集団はもちろん男性ばかりであり、そこに外部から女性記者がやってきた。これは医者たちの共同体にとって新しいタイプの女性である。内部において確固たる秩序のもとで医師の下に位置づけられた看護婦とは違うタイプだし、女性の患者ともまた違う。そのような「新しいインテリの自立した女性」と医者がどう付き合うかという重要な主題を背景に持つ。