ハンセン病と精神病―二つの隔離収容のシステム

明治維新からの日本における医療の近代化と西欧化について。明治維新以降、医療は西欧化し、近代化する。西欧化が最も順調に進んだのが、医師資格と教育制度である。全国で通用する医師資格という概念が初めて導入される。そこで西洋医学のみが医師資格の基準となることになったから、教育の世界は西欧医学に急速に転換される。この脈絡で考えると面白いのが、ハンセン病と精神病の医療のシステムであろう。この両者が20世紀の日本でとった隔離収容の病院を作るというシステムは、ヨーロッパの歴史と現在において採用されていた方法であり、近代日本はそれを模倣しようとしていた。その二つの目標を、まずはハンセン病が20世紀前半に、次に精神病が20世紀後半にそれぞれ達成した。

 

注目すべきポイントは、日本が模範とした西欧におけるハンセン病と精神病に対する隔離収容の体制が新しいものか、まさに作成されていたということである。ハンセン病については、ノルウェイとスペインなどの周縁国をのぞくと、ヨーロッパにとって遠い過去になくなった病気であり、中世のハンセン病収容所は記憶の世界の現象であった。現実の収容所は、19世紀の末から植民地の文脈で隔離収容が行われた病気であると考えるのが正しい。つまりヨーロッパ諸国が植民地でハンセン病患者の隔離収容に乗り出したのと同じ時期に、日本もハンセン病患者を隔離収容していた。精神病についても、確かに後期中世やルネサンスの時代に重要な起源があるが、実際に確立されたのは19世紀の半ば以降である。日本の明治人が精神病院という発想を聞いたときには、ヨーロッパにおいてもそのシステムはかなり新しいものであった。

 

どういう意味があるのかよく分からないけれども、メモしておく。