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18世紀パリのカフェ・オ・レーと薬種商・食品商

メルシエ『18世紀パリ生活誌』上・下、原宏編訳(東京:岩波文庫、1989)

必要があって、メルシエの『18世紀パリ生活誌』を読み直す。いくつかメモ。

 

「牛乳売り」の項目。甘草水や水売りと同じように、村の農家の女たちがパリに来て牛乳を売る。警察が銅製のつぼに入れて運ぶことを禁止したが、農民は夜に絞った牛乳を銅の壺に入れて一晩保存し、翌朝それをブリキの壺に移し替えて売りにくる。水で薄める場合もある。年老いた孕み牛から絞った牛乳は体に悪い。朝にやってきて、甲高い声で牛乳を売り、人々が集まってその牛乳を買う。牛乳の売り上げが増加した原因は、コーヒーに混ぜてカフェオレにするためである。町の四分の三の過程で毎日の習慣になり、スイスの山の中でもカフェオレが飲まれている。「中央市場の荒っぽい言葉つきの女たちも、鮮魚売りも、あのたくましい女たちも、侯爵夫人や公爵夫人と同様、毎朝カフェ・オ・レーを飲む」とある。

 

フランスはこの段階では庶民がカフェ・オ・レーを飲んでいたのか。私なんか、いまでもカフェ・オ・レーを飲むときは気取って飲むのに(笑)

 

食品・薬種商の項目。薬品店と食品店とは区別がつかなくなっているという。干しブドウをグラウバー塩(硝酸塩のこと)を両手に持って売っている。現在のアメリカや日本の「ドラッグストア」で薬品も食品も売っているのと同じである。同時代のイギリスでも、薬種商が新鮮な卵を売っているという広告を出していたのは、ラウドンの著作で有名だけれども、それは一般医を行う方向に社会的に上昇していた薬種商(アポセカリー)が、まだ昔の名残りで食品も売っていたという方向で解釈されている。もっと面白いのが、食品や薬種商では、紙切れに香辛料や薬品を包むので、包み紙が必要になる。そのために、本や文書などが役に立たなくなると、それを引き受けて包装紙に使う。貴族の家系などについての本を書いたことで有名なある人物は、食品商の店を回って、量り売りで買い取られた書類を残らず提供してもらっているうちに、証書や証文の宝の山を築いた。そこにはルイ14世の結婚契約の原本まで見つかったという。

 

この「薬種商」、ちょっと詳しく調べないと。たぶんイギリスでいう druggist のことだと思う。