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商品としての血液の歴史

2nd: ダグラス・スター『血液の物語』山下篤子訳(東京:河出書房新社、1999)

 

これまで存在を知らなかったが、医学史の研究者はもちろん、医学・科学系のジャーナリストは必ず読まなければならない書物。学部生向けの授業であればリーディングリストに入れてもいい。20世紀の輸血と血液製剤の問題における医学と政府とビジネスの関係を、国際比較の視点とともに描いている。特に、20世紀の後半からは、血液がさまざまなメカニズムを使って<商品>になろうとしている様子が描かれている。もともとは兵士の生命を救う寄付であったのが、すぐに国家と医学者と製薬企業などが別のメカニズムも用いるようになり、あるときには日本の大阪の貧民が後にミドリ十字となる会社に売血をし、あるときには発展途上国の貧民から血液を絞り上げて商品にして日本やヨーロッパに売られるという、多様な方法が用いられている。著者は医学・科学系のジャーナリストであるため、初期近代を扱った部分は、瀉血は有害であるという前提から一歩も出ずに書かれているから、ここは真似してはいけないけれども、著作の殆どを占める20世紀の話は、緻密なリサーチに基づいた深い分析を素晴らしい筆致で書いている。翻訳は古書ならアマゾンで格安入手できる(私は1円で買った)。英語の原著もKindle で1,000円程度なので、私は買っておいた。

 

特に調べたかったのは、日本におけるストーリーと並行して外国で何が起きているかということである。日本における戦後の売血の発展、ライシャワー事件における輸血の失敗、そしてミドリ十字の発展と血液製剤の事情と並行して、アメリカとヨーロッパを中心にした諸外国で似たような状況が起きている。

 

翻訳と Kindle の双方のサイトを掲げる。

 

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