「春信一番!写楽は二番!」 フィラデルフィア美術館の浮世絵コレクション

静岡市美術館の展覧会に行く。実佳が静岡大学の教員ということで内覧会に招待され、その同伴者という形でお邪魔させていただいた。

 

展覧会は、フィラデルフィア美術館の浮世絵コレクションから精選されたものである。浅野先生のご講演を伺い、どう数えたのか聞き漏らしたが、現在では浮世絵のうち日本国内にあるのは3割しかなく、全体の5割はアメリカにあるとのことなどを学んだ。「春信一番!写楽は二番!」という洒落たタイトルである。

 

素晴らしい展覧会で、いくつもの新鮮な発見があったので、いくつか書いておく。まず、春信の作品についてだが、女性も若衆も、まるで仙女のようというのか、西洋風に言うと19世紀から20世紀に描かれた(あるいは写真に撮られた)妖精のようというのか、実質感がない描かれ方をしている。空気で出来ている身体の上に優美な着物が造形を与えているような感じである。これが歌麿になると、はっきりとした肉体を持つようになる。顔には目があり、その眼には瞳が描かれている。とても小さいけれどもはっきりとした形をもった唇があり、鮮やかな紅色に彩られ、そして歯並びがはっきりと描かれている場合もある。そこには生きた肉体があり、肉体が表情を持っている。解説では、これが「購買層が広がったから」というような短い説明がしてあったが、どういうことなのだろうか。

 

あとは、鳥居清長の1780年代の作品で、江戸は浅草の薬屋である「栄寿軒」がプロモーションかなにかのために、7歳の天才少年に席書をさせている作品がある。もちろん主役はその少年のパフォーマンスだが、そこで薬が売られているありさまがよくわかり、「万応丸」という薬が袋詰めで売っている様子が描かれている。この作品の図像を持っておこう。

 

http://www.shizubi.jp/exhibition/future_150823.php