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不妊治療と16世紀の喜劇(マキァヴェッリ)

マキァヴェッリ「マンドラーゴラ」脇功訳、『マキァヴェッリ全集 4』岩倉具忠代表訳者(東京:筑摩書房、1999), 4-54.

 

マキァヴェッリが16世紀初頭に書いた喜劇。イタリア本国では名作として名高く、欧米では現在でも舞台で上演され映画化されているとのこと。16世紀の不妊治療を主題にしている作品であり、Valeria Finucci, Manly Masquerade (2003) の第二章で分析されている。原作を医学史研究者として読んでおいたが、これが非常に面白い作品である。

 

不妊治療ということで夫をだまして人妻を愛人にする喜劇である。主人公はパリ帰りの遊び人の若い男性。これがある人妻に惚れる。その人妻のカップルが、しばらく結婚しているが子供に授からない。夫は法律博士でつまらない人物で、妻は美人で道徳家だから簡単に男の愛人は作らない。そこで一計を案じて、主人公が仲間とかたらって、不妊治療につけこんで教養ある医者のふりをして夫をだまし、マンドラーゴラの薬を妻に服させれば必ず子供を授かる、しかしその薬を飲んだ直後の女と性交する男性は必ず死ぬから、夫が性交する前に別の男性にやってもらえばいいと夫と妻と妻の母親に言う。死ぬ役割をあてはめられていた男性は、もちろん主人公が変装してその役をつとめる。一件が終わったあとには、主人公はお目当ての女性と寝ることができ、夫は子供が得られると喜び、妻は今後の愛人を得ることができてこれも喜んでいる。

 

主人公が扮する教養ある医者というのが、ラテン語で話して臓器の名前を並べて不妊の原因を並べ、夫の尿検査をしてそこから不妊の原因がわかったなどというくだりがはさまれている。夫はもちろんころりと騙されてしまう。当時急速に成長していた古典語のテキストの再発掘によって、ルネサンスの医学が知的に急成長していたこと、それが人々の生活に影響を与える主題の作品が書かれていたことが分かる。

 

 

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