カレーのCMと食欲と性欲

 
ツイッターで時々登場するグリコのカレーのCM.  ご覧になればわかりますが、食欲と性欲が完全に同期されている映像である。女優さんが辛いカレーを食べているのか、貪欲に淫乱に性行為をしているのか分からなくなるように作られていると私は思う。
 
色々な説明の仕方があるけれども、ガレノスの四体液理論と人体の理解でかなり説明できる。ガレノス主義の基本は、食物と血液と精子(種子)が同じものが精製されて変わるという考えである。それらしい食べ物をたくさん食べると、血液の性質が変わり量も多くなり、それが活発な精子にいたる。食を養生することと、有益な精子を十分に持つことは、血液を通じて直接的な関係を持っている。
 
一方、身体と世界は熱―冷と乾―湿という二組の対概念で作られており、この組み合わせで四種類に分類できる。人体の体液は、血液、粘液、胆汁、黒胆汁で、それぞれ、熱く湿っている、冷く湿っている、熱く乾いている、冷たく乾いているの四つの性質となる。ここで気をつけたいのは、性欲と結びついた血液が、熱くて、湿っていることである。CMの女優のポイントは、熱くて湿っており、それが激しい熱と髪までびっしょりの発汗で表現されている。つまり、体から、精子のもとになるものが発散され、それと食べることが同一視されている。 
 

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文献としてはこの本が標準的な研究である。私は読んでいないが、ナッツの世界史やパンケーキの世界史などの楽しい本も書いているとのこと。
 
Albala, Ken. Eating Right in the Renaissance. California Studies in Food and Culture. Vol. 2: University of California Press, 2002. 
 
(もともと何を書きたかったのかわからなくなったけど、とりあえず書いておく 笑)