アノイリナーゼ菌と新潟医大のツツガムシ病事件

アノイリナーゼ菌というビタミンB1を破壊して脚気を起こす菌とその保菌者についての論文をたくさん読んだ。

たとえば、高頭、敬子. "腸内腐敗の研究 Ii ". ビタミン 5 (1952): 363-68. 

この一連の仕事は、1953年に新潟医科大学の博士論文となった。この研究の指導教官は新潟医科大学の桂重鴻(かつら・しげひろ、1895-1989) である。桂は、1950年代に新潟の精神病院の患者100名ほどを用いて、ツツガムシの研究を行い、患者8名がそのため死亡(うち1名は自殺)という人体実験による深刻な医療事故を招いた。いわゆるツツガムシ病事件である。桂は、昭和13年には台北帝大の教授となり、引き上げのあと熊本医大、新潟医大教授というキャリアを歩んでいる。

このアノイリナーゼ症の研究は、科学研究費を取得して、研究室の若手研究者たちを総動員して、おそらく患者も短期間でかきあつめて、短期間で成果を集中的に上げるという総力戦のスタイルである。

ツツガムシ事件については、きちんとした研究がないのだろうか。昔の医療ジャーナリストの仕事を買ってみた。