小さな疑問―この上着は何ですか?

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黒田清輝が1909年に描いた寺尾寿(てらお ひさし 1853-1923) の肖像画。寺尾は福岡出身の天文学者・数学者。パリ大学に留学して天文学を学び、東大で天文学を講じて東京天文台の初代台長となった。日本の官僚や経済の名家と深い関係を築いた。黒田がフランスで学ぶ前に、フランス語の手ほどきをして、東大在職25年を祝したこの作品を描いて黒田はとても幸福だったとのこと。表情にも優しさと笑みがあって、素晴らしい作品だと思う。

問題は、この上着は何かということ。医師や科学者においては、この時期に白衣や実験衣などの仕事着を着た肖像画が現れ始める。ここで寺尾が来ているのは、礼服などではなく、仕事の時に羽織るもののように、私には見える。だとしたら、この上衣はなんだろうか。たぶん、天文学者の日常生活が分かっていないので、何をどう調べたらいいのかよくわからない。