中世イタリアにおける解剖用の刑死体

f:id:akihitosuzuki:20171201175957j:plain

 

13世紀末から14世紀中葉にかけて活躍した画家にピエトロ・ロレンツェティという人物がいる。彼がアッシジ聖フランシスコ教会のバジリカにフレスコを描き、その中で、首を吊って自殺したユダを描いている。身体は歪んで下方に引っ張られたようになり、下腹部は切り開かれて内臓も見えている。これは解剖学に用いられた刑死体が原型にあるのだろう。中世のイタリアの大学の医学校では、刑死体を用いて解剖の講義と行うことがすでに慣例となっていた。少し調べてみると、そのような議論をしている論文が見つかった。ロレンツェティだけでなく、首をくくって内臓が見える自殺したユダの死体の絵画が複数あるとのこと。著者本人が公開していて読むことができる。
 
Gaeta, Raffaele, and Antonio Fornaciari. "A Hanged from the Past: Medical Consideration on the Judas Iscariot Fresco—Chapelle Notre-Dame-Des-Fontaines, La Brigue (15th Century)." The American Journal of Forensic Medicine and Pathology 37, no. 3 (2016): 170-73.