パンデミックのSF小説

来年に一つパンデミックに関する論文を書ければいいと思っている。もちろんまだ研究の状況が分かっていない。パンデミックのゲームという新しいマテリアルが重要なピースだけれども、その話まで持っていけるかどうか分からないし、そもそもパンデミックを主題にした学術研究をしたことがないので、まったく見当がつかない。マテリアルや研究をぼつぼつ集め始めているというのが素直なところである。
 
エコノミストから来た特別面白いコラムの特集を読んでいたら、第二次大戦後のアメリカでパンデミックによる人類滅亡のSFが数多く書かれているという。George Stewart の Earth Abides (1949)、Richard Metheson の I Am Legend (1954)、 Stephen King の The Stand (1978) 、それから Max Brooks の World War Z (2006) などである。World War Z はしばらく前に翻訳の文庫本を買ったことがあったが、他のテキストは知らなかったので買っておいた。ついでに、小松左京の『復活の日』(1964) と『日本沈没』(1973)も読んだことがなかったから買ってみた。
 
アメリカの作品についての解説を読んでみたら、疾病の大流行―人類ほぼ壊滅―生き残った人々が問題の疾病の特徴を知り、新しい社会を構築するという三段階のプロセスがあるような気がする。そうすると、疾病研究と対策の部分が、パンデミックの話と重なる部分が出てきてゲームになるような気がする。
 
ちなみに小松『復活の日』は、イギリスの細菌兵器が盗まれてという話で、英訳は Virus であるとのこと。英語の論文にするときには、この話を冒頭に置こう。いや、学術論文を書くときには、本当は、こんなことを考えてはいけないのですけど。手持ちの持ち駒が弱くなっている時には、こういうことを考えるのですね。