新国立劇場のフィレンツェを舞台にした「ダブル・ビル」(2019年4月)

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オペラの世界で人気がある歌は、そのオペラ作品が人気があり、作品としてよく上演される中でその歌に出会うものが多い。それと違うパターンで、独立した歌として人気があるけれども、作品を上演することはほとんどない歌というものがいくつかある。有名な歌手のアリア集のCDなどを買うとその歌がよく取り込まれているが、その作品を見たことはめったにないものである。私の意識の中では O mio babbino caro が一番有名なその手の歌である。You Tube を見るとこの歌のパフォーマンスで満ちているが、もともとこの歌を含んでいるプッチーニのオペラは、私は上演されるのを見たことがない。光平さんという日文研の研究員で、若いころはピアノを習い、今では優れた音楽と医学の歴史の研究者になった方と話しているときにも、だいたい合意した。

新国立劇場に新たに就任した監督の大野和士さんが、この曲を含んでいるプッチーニのオペラ『ジャンニ・スキッキ』を上演する。これは「ダブル・ビル」と呼ばれている上演方法でもので、一幕物の短いオペラを二つ選び、それらを続けて一晩に上演するという仕掛けとのこと。もう一つの作品は『フィレンツェの悲劇』という作品であり、O mio babbino caro もフィレンツェのアルノー橋のことを歌っているから、二つともフィレンツェに関する作品になるとのこと。これは私にとっては初めての経験である。東京でこの作品を見ることができるのを楽しみにしている。