ラエネックの聴診器に関する大学院の授業。毎年苦労しながら手ごたえを感じているという不思議な授業である。今年は色々考えることがあって1950年の日本語訳を使ってみた。日本語訳も、X線が現れて用いられるようになり、ラエネックの聴診がすでに用いられなった状態での翻訳と解説で、新しい面白さがある。また、ラエネックのテキストを読んでもいろいろと趣きが深い発言がある。今年の面白い点は二つ。一つは、患者の体内から聞き取ることができた音を、どうやって同じものだと理解できるのかという学生の問題提起に対して、日本野鳥の会の聞き分けの原理を説明できたことである。さまざまな鳥の声は、似ているものがあっても、それらは違う鳴き方をするし、会員でその違いを共有できるという説明の仕方を思いついた。授業中にハシブトガラスとハシボソガラスの聞き分けの実例を出してみたけれども、この例は違いすぎてあまりよくない。シジュウカラとコガラやヤマガラなどがいい。その実例は自分で作っておこう。