『ハンセン病の歴史』などの無料小冊子配布

https://www.york.ac.uk/history/global-health-histories/publications-outreach/leprosy/

 

ヨーク大学の歴史学科で教授をしておられる医学史家のサンジョイ・バッタチャリア先生。これまでも何回か来日され、来年も慶應日吉で講演されることになっている。バッタチャリア先生が紹介してくれた、ヨーク大学がこれまで刊行しておられる疾病の国際史の小冊子を読んでいた。これは世界のハンセン病の歴史と現在と将来の小冊子で、英語と(おそらく)ポルトガル語の二言語構成である。世界各地のハンセン病の歴史がコンパクトに描かれている。

日本からは、中谷比呂樹先生と宮坂道夫先生が書いていらした。中谷先生は、慶應の医学部を卒業後、厚生省からWHO に進み、 HIVマラリアなどを担当する責任者となった。近年は慶應や阪大の特任教授をされている。宮坂先生は『ハンセン病 重監房の記録』などをお書きになり、ハンセン病患者が隔離されて置かれたマイナスの側面を強調している。いずれも素晴らしい文章である。近現代の日本について貴重な画像が掲載され、中世ヨーロッパの図版も素晴らしい。多くの図版も大いに参考にされてください。

中谷先生の文章で可笑しい個所があった。岡山愛生園を訪れた話をされたところで、神谷美恵子と彼女が訳したラテン語の『自省録』の話をして、これは当時の慶應医学部でのラテン語の授業のテキストだったと書いている。私はラテン語は基本的には挫折したが、そんなに慶應ラテン語の授業は難しかったのか(驚愕)

それ以外にも、結核精神疾患、熱帯性疾患などについても、別々の無料DL冊子が刊行されています。ぜひご覧になってください!

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大英図書館が所蔵する15世紀のハンセン病(らい病)の治療法のメモ

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ハンセン病(らい病)の歴史の表紙