シルヴィア・プラースの初期作品とアレルギーというヒステリー

Economist Espresso の土曜日。文化コーナーの楽しい話。
 
シルヴィア・プラースという20世紀の詩人。アメリカで生まれ、イギリスのケンブリッジで学び、イギリス人のテッド・ヒューズと結婚し、アメリカとイギリスを往復して過ごし、1963年には自殺した詩人でである。私の仕事の関係でもう一度読み直そうと思っていた。そこに、エコノミストによると新しい原稿が刊行されたという。彼女が20歳のときに Madmoiselle という雑誌に投稿したが、断られた作品である。これが、エネルギーと色彩の第九帝国に鉄道で訪れるというファンタジー系の話らしい。50ページ程度で約500円だから買っておいた。
 
もう一つがアレルギーの話。アメリカの成人の10%が特定の食品に対して反応をするアレルギーである。この中には、本当に重篤な症状を示すものもある。しかし、アンケートだけで聞いてみると、成人の20%がアレルギーであると答える。このうち半分くらいは、医者にアレルギーの診断をされたことがないのに、自分はアレルギーだと答えているという。エピデモロジーで言うと実態の2倍の数値である。これは、過去と現在におけるヒステリーや神経衰弱と似ている現象である。この二つの疾病は、文化や社会の中に組み込まれて、そちらの方の価値観で、その疾病に罹った<患者>になることが純粋に可能である。こう書くとまるで悪い現象のようであるが、良い意味も持っている。色々あるが、基本を言うと、もともとそのように人が思って医者にいかないと患者を発見できないという原理的な問題である。
 
ちなみに、私が大嫌いな食べ物はシイタケである。誰に謝っているのかよく分からないが、恂に申し訳ございません(笑)もちろん、これでお医者さんに診断してもらったことなど一度もない。しかし、レストランなどで「アレルギーは?」と聞かれると、「アレルギーではありませんが、嫌いな食べ物はシイタケです」と答えておく。私に言わせると、事実を述べているだけである。学校などで「ヒステリーは?」と聞かれて、「ヒステリーではありませんが、そのような症状を示すのは〇〇の時です」と答えるのと同じなのかもしれない。