植物のカラー(オランダカイウ)の毒性について

しばらく気になっていた中世ヨーロッパの植物の本草学について。中世の英語で書かれている写本で、大英図書館が所蔵している。そこに毒蛇も描いてあることが、毒性をあらわしているのだろうなと予想させる。少し調べてみた。

 

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British Library 所有の写本より

イラストは現在の英語では calla lily と呼ぶ植物で、日本語の園芸店では「カラー」と称して売っている。現在のカラーも実は生きた段階だと毒性が強いという。Wikipedia などに書いてある。私も園芸カタログで見た記憶がある。ただ、新鮮でなくなると、毒性が消滅するか弱くなるらしい。

日本で同じ認識で毒性植物としたもう一つの名前付けがある。「海芋」(カイウ)、あるいは水芭蕉である。字引には「オランダカイウ」とあり、「カイウ」というのは「海芋」と書く。「海芋」はもともとは何かと思って現代語の事典を引くと、現在の私たちが「カラー」と呼ぶものと書いてある。これは何か循環している字引の機能になってしまう。日本国語大辞典をひくと、問題が解決した。江戸時代には水芭蕉のことを「海芋」と読んでいる。「かいう」をひくと、「植物「みずばしょう(水芭蕉)」の異名」とあり、小野蘭山『本草綱目啓蒙』の一つだと思うが、『重訂本草綱目啓蒙』〔1847〕には「一三・毒草「海芋 みずばせう 観音蓮」」とされている。基本は毒草である。しかし、日本の北部や山岳地帯では、非常に有名になっている花であり、ウィキペディアでの記述は豊かである。山岳に上るのが好きな人たちは、これに癒されるのだろう。

 

 

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