植物学の文庫本

牧野, 富太郎. 植物知識. vol. [529], 講談社, 1981. 講談社学術文庫.
湯浅, 浩史. 花の履歴書. vol. [1169], 講談社, 1995. 講談社学術文庫.
 
植物学の本を二冊眺めてみた。牧野の書物はもともと1949年に逓信省に依頼された『四季の花と果実』であったが、1981年に講談社の学術文庫に入った。1993年には22刷しているベストセラーである。現在では青空文庫で無料で読むことができる。花や果実に関する具体的な内容は非常に充実している。あとがきも面白い。まえがきが、花が生殖器であること、それは子孫を残す重要なファンクションであること。人間も子孫を残さない人物は反社会的であることなど、ジェンダー論なり身体の歴史の恰好の素材になる。来年のG論では、これも使いますね(笑)
 
湯浅の本も素晴らしい。同じ学術文庫である。アマゾンだと1円の古書で売っている。そこで「ケシ」を探すと、一般での栽培が法律で禁止されていること、小さいリンゴほどになる果実を傷つけて得られる乳液からアヘンがとれ、モルヒネにすることができる。江戸時代には鑑賞だけでなく、若い葉を野菜にしたり、種子を炒って食用にしたという。